旅育を形にしたツアー。歴史が学べる!親子で行く修学旅行

 JR東海ツアーズの店頭で、ひときわ私の目を引いたのが「親子で行く修学旅行」というタイトルが付いた、京都および奈良へのツアー。これも「親子で楽しむ新幹線」プロジェクトの一つだといいます。

 「当社のエリアには世界に誇れる文化や歴史遺産が沢山あり、以前から多くの方に知っていただきいと思っていたのです。そんなときに国から『歴史教育に取り組みたい』という話を頂き始まった肝煎りのツアーです」(野見山さん)

 本物志向で他にない特別な体験が満載。旅行者にとって魅力的であるのはもちろん、平成25年から第9弾の今回まで、文化庁文化芸術振興費補助金の助成を受け、地域活性という面を意識した取り組みであるのも興味深いところです。

 2017年1月から3月の企画では、奈良コースは、世界遺産の薬師寺を参拝し、特別授業として写経や奈良筆の制作を体験。夜には遣唐使の無事を祈祷した海龍王寺を貸し切って、実際に奈良時代から続く祈祷を実施。京都コースは、「戦国三大武将ゆかりの地と日本文化を学ぶ」をテーマに、秀吉を弔うために建立された高台寺や、教科書にも出てくる本能寺など三大武将ゆかりの地を、専門家や僧侶の案内でまわります。他にも、世界遺産である下鴨神社ではお参りの作法を、老舗料亭で和食のマナーを学ぶなど、バラエティーに富んだ体験が1泊2日の中に凝縮され、その内容は大人が見ても興味津々。

 「1回の定員は80名までとし、現地の方との交流や生の声に触れる機会を大切にしています。また、親子での修学旅行ということで、より思い出深いものとなるよう貴重な体験ができる『特別授業』を多く取り入れています」(野見山さん)

奈良時代から続く海龍王寺の祈祷は貸し切りで夜に実施
奈良時代から続く海龍王寺の祈祷は貸し切りで夜に実施

 また企画のこだわりは他にもあるといいます。

 「過去実施した中では薬師寺なら、5年生の国語の教科書に出てくる『千年の釘にいどむ』というドキュメンタリーに沿ったガイド内容としたり、本物の『千年の釘』に触れる機会を設けたりもしました。合わせて教科書に出てこない裏エピソードを伝えるなど、子ども目線でも発見や驚きがあり、歴史に親しみやすいようにしています」と野見山さん。

 手間暇かけて丁寧に企画されているのが伝わってきますが、気になるのが価格。実は中学生も子ども料金でOKなど、旅行代金も参加しやすい価格に設定されています。

 「内容に妥協をせず、価値あるものを提供できるのは、地元の方々のご尽力や補助金なども大きいですね。歴史教育の強化、地域活性という目的があるからこそといえます」(野見山さん)

薬師寺では、子どもが興味を持ちやすい話題から僧侶が解説
薬師寺では、子どもが興味を持ちやすい話題から僧侶が解説