こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。「子連れに優しい旅」や「旅育」サービスの開発背景や企業の思いなどをご紹介する「裏側探検隊」。今回はJR東海にスポットを当てます。

 東海道新幹線といえばビジネスユーザーが多いイメージですが、ここ最近、家族旅行をテーマにした商品やサービスを目にする機会が増えています。そこで、子連れ専用新幹線「ファミリー車両」、「親子で行く修学旅行」などの商品や開発経緯を中心に、JR東海 営業本部 観光開発グループ 係長の野見山大さんにインタビュー。JR東海のファミリー戦略について紹介します。帰省などで、家族で新幹線を利用される方も多い時期。ぜひチェックしてお出掛けください。

「ファミリー車両」、年末年始は昨冬比6割増しで運行

JR東海 営業本部 観光開発グループ 係長 野見山大さん
JR東海 営業本部 観光開発グループ 係長 野見山大さん

 平成21年度に発売を開始し、いまや半数近くがリピーターという人気の「ファミリー車両」は、JR東海ツアーズが発売する1両まるごと子連れ専用の新幹線。年末年始や夏休みなどの期間限定で販売され、車両は子連れオンリー。過度に周りへ気兼ねする必要がなく、また1歳から子ども料金は必要なものの、人数にプラス1席が用意されるのが特徴。ゆったりしたスペースが確保できるので、ベビーカーを置いたり、子どもが横になって休んだりと快適に移動ができるとママ&パパの支持を集めています。

 「ファミリー車両は、若手が中心の新規需要企画の検討プロジェクトで誕生しました。メンバーの中に車掌の経験者がおり、『赤ちゃんの泣き声に他のお客さんからクレームが寄せられた』『デッキで立ちっぱなしで赤ちゃんをあやすお母さんの姿を多く見かけた』ということが話題に。小さなお子様連れ向けのサービスに潜在的なニーズがあるのでは? と検討が始まりました」(野見山さん)

 野見山さんによると、商品の特性もありママ一人で子どもを連れて乗車するケースも多いそう。「おむつ替え等で席を外すときに、荷物を見ていてほしいなどの要望も多いと添乗員からは聞いています」(野見山さん)という通り、車両には添乗員が待機。ちょっとしたことで誰かの手を借りたいときなど、添乗員の方は想像以上に心強い存在です。

2016~17年末年始は、昨冬比6割増しで販売
2016~17年末年始は、昨冬比6割増しで販売

 私がかつて利用した際にも細やかな配慮が印象深く記憶に残っています。ただし混雑状況やタイミングによって個々の対応が難しいこともあるので、お願いするときは状況を見極めるのが大切です。

 既にこの冬の商品は、発売が始まっていますが、12月16日から1月9日までと長期間設定があり(※除く1月3日上り列車)、昨冬比で6割増しと大幅に座整数も増えているそう。

 「年末年始を中心に既に満席の列車もありますが、時間帯や日程を少しずらしていただければ今からでも間に合います」と野見山さん。乗車4日前までの申し込みが必要なので、利用を検討している方はお早めに。

人数にプラス1席が提供され、荷物を置いたり子どもも横になって昼寝ができる
人数にプラス1席が提供され、荷物を置いたり子どもも横になって昼寝ができる