人間は、共同体の中で所属感・信頼感・貢献感を求める
「共同体への価値を認めうる生きかたをしているときにのみ、人間は人生の諸課題を満足なかたちで解決できもするし、自分自身満足感を得ることもできる」(アドラー)
幸せに生きていくために、アドラーは私たちに「自分は誰かのために何ができるだろうか?」と考え行動することを求めたのだと解釈します。ここで注意したいポイントを下に記します。
個人と社会は調和すると考えるのがアドラー心理学の特徴です。つまり、社会は人間が幸福に生きるための場であり、人間は共同体に貢献して生きるときに幸福になれる、とする考え方です。ここで言う共同体とは、家族であり、学校であり、職場であり、コミュニティーであり、国であり、地球であり、ひいては全宇宙でもあり得るでしょう。
私たち親は、共同体の最小単位である「家族」のリーダーとして、自分の子どもたちが、次の3点(所属感・信頼感・貢献感)を感じられているかどうかを日々、注意深く観察すべきと思います。
(1) その子の「ありのままの状態(親や社会の期待に応えているか否かを問わない)」で、家族に所属することを認められていると感じているか?
(2) 家族の構成メンバー(親やきょうだい、親族)を安心して信頼できているか?
(3) その子が家族に役立っていると感じるのみならず、そもそも、その子の存在自体が既に家族に価値を提供できていると感じているか?
この3点を感じながら生きていることを「共同体感覚を持って生きている」と言います。それでは、「共同体感覚」を持ちやすい人格や、持ちにくい人格というものはあるのでしょうか?