仕事も含め、人生すべてが虎のためという感じになっている

 以前、ジャーナリストの蟹瀬誠一さんにお会いしたとき、こんなことをおっしゃっていた。

 「子育てしながら仕事をしていると、どうしても仕事にかける時間が長くなってしまうけど、心理的なウエイトは仕事49対子育て51と決めていた。そうすれば、何かあったときに悩まずにすむ」

 ジャーナリストとしてバリバリ働いている、しかもこの世代の男性が、子育てを仕事より優先するというのは、なかなかできるものではないと思う。蟹瀬さんの奥様の令子さんも重要なポジションで働いていらっしゃる方。ご夫婦とも仕事量は半端ないと思うが、時間のかけ方とは別に、気持ちのうえでどんなに忙しく働いていても子どもがいつも上だと思っていれば間違いはなかったということなのだろう。

 その言葉を、私も胸に刻んでいる。私の場合、数値で比率を表すのは難しいというか、気持ち的には虎(仮称・4歳)が「一番」過ぎるので、何パーセントが仕事とは言いにくい。仕事も含め、人生すべてが虎のためという感じになっているので。

 よく、インタビューを受ける際に、「大学とアナウンサーの仕事、どちらが多いのですか?」と聞かれるが、必ず「いや、子育てです」と答えてインタビュアーの方に苦笑されているほど。だからこそ、気持ちの部分と、実際にかける時間の部分が乖離しているのが辛いのだ。

 仕事が忙しいとき、「今週は虎とじっくり遊んであげる時間が少なかったな」と思って罪悪感にかられたり、一緒に公園で遊んだのは何時間だったかな、虎のために何かしてあげたことはどのくらいあったかな、などと計算してしまったりする。でも、時間なんか関係ない。気持ちのうえで、いつも虎が一番であることは絶対的に確かなのだから。何かあったときは、もちろん何をおいても駆けつける。去年の今ごろはちょうど、その「何か」があって、息子の入院生活に付き添っていたのだが、今年は軽い風邪にかかった程度で総じて元気。幼稚園も数日しかお休みしなかった。

 そんな1年でよかったとしみじみ思う。