仕事、育児、家事、全部完璧にできないのもまた現実

 インフルエンザにかかったことにも気付かずに生放送に出ていたこともあった。実際、39度くらいの熱では普通に仕事できていたのだが、さすがに40代も後半になると、それは無理。この前、ウイルス性扁桃炎だかヘルパンギーナだかで39度の熱が出たときは、体に力が入らず、布団から全く起き上がれなかった。生放送中に倒れたりしたら、それこそ迷惑をかけてしまうので、泣く泣くリタイヤするしかなかった。「風邪で休む」という選択肢、すみません、もう織り込みました。まぁ、業界的にも最近は無理に働かせる風潮はよくないということで、出演者が体調不良でレギュラー番組を休むケースもよく見るようになった。もちろん、インフルエンザにかかったことが分かったら、休むべきという社会的責任も当たり前になった。

 「風邪で休む」という選択肢を織り込むことは、私にとってはかなりショックで仕事人としてのプライドが傷ついたのだが、そこで傷心ぶっても仕方ない。むしろ、私がやるべきことは、風邪を引かないように最大限心がけるほか、今度高熱が出たり倒れたりしたときには、ギリギリまで粘らずに、いかに早く自分に見切りをつけて先方にキャンセルの連絡をできるかということだ。悲しいが、それが現実なのだと自分に納得させないと。

 そして、仕事、育児、家事、全部完璧にできないのもまた現実だ。

 若いときは、完璧を目指して努力するのが当然だと思っていた。結果として完璧などということはあり得ないのだが、肩肘張って「完璧ぶろう」としていた。それも仕事のウエイトが生活のほとんどを占めていたからできたことであって、今じゃそれは難しい。

 例えば、大学で受け持ちの授業や委員以外にも、あれやってくれないかこれやってくれないかという声が結構かかる。時間があればやりたいところなのだが、恐らく若いときなら引き受けていただろうことなのだが、今の私の状況では断るしかないこともある。

 他にも、様々なイベントや勉強会、プライベートな食事会、飲み会なども、もしかしたらそこから何か仕事にプラスになる情報や興味のある人物に出会えるかもしれないと思っても、参加できることはめったにない。若いときは、そういうお誘いはまず断らなかったのだが、エキストラなことに時間を使える余裕はない。

 みんなにいい顔はできない。

 これが、「仕事がっつり子育てしっかり」を目指した結果、たどり着いた答えだ。