飛び込んでみれば、そうたいしたことはない

―― 小池さんがお仕事をするに当たって、現場での言葉遣いや立ち居振る舞いなど、女性としてしなやかに強く生きていくために意識されていることはありますか。

小池 すみません、あまりないんですよ。格好つけたりするとしんどいじゃないですか。本当に自然体で、そのままでやっています。たまに言葉遣いで言い過ぎることもありますけれども、時には意識してそうすることもあります。

 あまりキャンキャンかみついたりするとやっぱり聞きたくなくなりますから、そこはいろんな工夫はします。ギャグも言いますよ。私、おやじギャグやダジャレがかなり多くて、職員はみんなずっこけています。関西育ちなので、これはお作法だと思っています。

―― 健康管理のために、何かされていることはありますか。

小池 ストレスをためず、ポジティブに生きること。でもまあ、体調には気を付けないといけない年齢だとは思っています。私は行き着くところまで行ってやろうみたいなところがあるんです。どこか道端で倒れていたら、「小池さん頑張ったじゃないの」と一言くらいかけていただければ、それで結構だと思っています。

―― その覚悟、エネルギーはどこから出てきているのでしょう。

小池 私は自分をリスク・テイカー(risk taker)と言っているんですけれど、人生にはリスクがいっぱいあります。そこでもダメな理由よりもできる理由を考えて、エイヤで飛び込む。リスクをとらないことが、リスクになることもあるわけです

 色々やってみて失敗もありますが、それは自らの糧になります。人生は一度きりですから、やらなかったことを悔やむよりは、やってみて失敗したらもう一回やろうと考える。それに尽きます

―― 今日はたくさんのエネルギーとアドバイスをいただきました。最後に一言、会場の皆さんにメッセージをお願いします。

小池 皆さんの人生、自分でいろんな彩りをどんどん加えていっていただきたいと思います。

 都知事選のときに、黄色いマフラーを巻いた「ファーストペンギン」の人形をいただきました。群れの中で最初に1匹だけ海に飛び込む勇敢なペンギンのことで、ひょっとしたらそこでぱくっと食べられちゃうかもしれないけれど、安全だと思ったらみんながその後に続いてわーっと飛び込む。

 私は女性で初めて防衛大臣をしたり、経済キャスターをしたり、色々初めてのことがありました。飛び込んでみれば、そうたいしたことはないんです。何もしなければ何も始まりません。どうぞ皆さん一緒に飛び込んで、この東京を、そして日本を、女性のパワーで変えていきましょう。

(文/谷口絵美 写真/花井智子)