3歳~5歳での待機児童ほぼゼロを実現し「3歳の壁」を解消しただけではなく、駅から離れた保育園の空き定員を活用する「送迎保育ステーション」、園長経験者が務める「保育コンシェルジュ」、学童保育クラブの「全入」、早朝から預けられる「学童一時預かり」など、子育て世代を手厚く支援しているのが、新宿から約30分の街、東京都町田市だ。駅周辺はなんでも揃う都会だが、少し離れると、古き良き多摩の大自然が残っているため、子どもが手軽に自然と触れあえるのも、町田市の魅力。町田市ならではのユニークな子育て支援策と住みやすさを、市長とデュアラーママに聞いた。

3歳~5歳での待機児童ほぼゼロを達成できた秘訣とは?

 小規模保育や保育ママなど、0~2歳児を対象にした保育所の種類が増えたが、こうした保育所に入れたとしても、3歳になる前に再び保活が必要になる。これが「3歳の壁」だ。

町田市の年齢別待機児童数の状況(2016年4月)。2016年度は3歳~5歳児で待機児童がほぼゼロになった
町田市の年齢別待機児童数の状況(2016年4月)。2016年度は3歳~5歳児で待機児童がほぼゼロになった

「20年間期間限定認可保育所制度が、3~5歳の待機児童ほぼゼロに大きく貢献した」と言う石阪丈一町田市長
「20年間期間限定認可保育所制度が、3~5歳の待機児童ほぼゼロに大きく貢献した」と言う石阪丈一町田市長

 そうした中、3歳~5歳での待機児童ほぼゼロを実現した街がある。町田市だ。町田市も、他の市区と同様、待機児童対策は大きな課題となっているが、2016年に3~5歳の待機児童がほぼゼロになった。これは、子育て世代にとっては有り難い。

 町田市で3期、11年目となる石阪丈一市長によれば、この3~5歳の待機児童ほぼゼロに大きく貢献したのは、2010年から導入している「20年間期間限定認可保育所」制度だという。これは自らの土地に保育所を建設して提供する人に建築費として最大3000万円を補助し、保育園を運営する法人には、賃借料を最大1200万円、20年間補助する制度で、地主と保育園のどちらにも利点がある。この制度を利用した保育園は、制度導入から19園にのぼっているという。「賃借料補助は今は多くの自治体でも行っている制度ですが、2010年の時点では町田市が全国で初めてでした」(石阪市長)

 さらに、幼稚園型の認定こども園が3~5歳の待機児童の受け皿になっている。町田市は幼稚園志向が強い土地柄で、もともと幼稚園の数が多い。市が幼稚園にはたらきかけて、認定こども園に移行してもらうことで、受入数を増やすことに成功した。

保育園の利用定員数の推移。過去6年間で利用定員は1805人増えた<br>*2015年度から、幼稚園型認定こども園を認定こども園数に加える
保育園の利用定員数の推移。過去6年間で利用定員は1805人増えた
*2015年度から、幼稚園型認定こども園を認定こども園数に加える