都立中高一貫校で唯一、帰国生・外国人生徒枠を設けている「都立立川国際中等教育学校」。「国際社会に貢献できるリーダーとなるために必要な学業を修め、人格を陶冶(とうや※育成)する」ことを教育目標として掲げ、国際人の育成を重視しています。約2割いる異文化経験のある生徒達と6年間共に過ごすことで、国内の学校にいながらにして、「互いを認め合う」多様な文化を身近に感じられるのは大きな魅力の一つ。5人の外国人講師と会話する機会も多く、留学制度の積極的な活用や英語でのスピーチコンテスト、東京外国語大学の留学生との交流、外務省の活動紹介、英語研修旅行などの実践的な英語力を伸ばすための活動を充実させています。
英語・数学では、習熟度別少人数指導を取り入れ、情報機器を活用した学力の分析をするなど、学習面をきめ細かくサポート。国公立後期試験まで目標に向かって走り抜ける指導で、平成27年度(平成28年実績)は、東大合格者4人、国公立大学合格者数63人と、進学実績も伸ばしています。
各クラスに7~8人の帰国生 「個性を互いに認め合う」環境
DUAL編集部 都内唯一の、海外帰国・在京外国人枠を持つ都立中等教育学校ということで、やはり英語に興味を持つ生徒が多いのでしょうか。
信岡校長(以下、敬称略) そうですね。学校名に“国際”と冠していることもあり、入学してきた生徒は「将来海外で働くような仕事がしたい」と、海外や英語への興味・関心が強い子が多いです。30カ国以上の国から受け入れる海外帰国・外国人が160人の学年の中に30人いまして、クラスには異文化経験のある生徒が各クラスに7~8人はいることになるので、その刺激は非常に強いものになっていると思います。そういう環境もあり、生徒達の英語への取り組み姿勢は、非常に積極的です。
国際理解教育に欠かせない英語力を身に付けられるよう、習熟度別少人数授業、ブリティッシュ・ヒルズ(福島)での英語合宿、海外での語学研修、ネーティブスピーカーの活用など、6年間で多様な交流事業やカリキュラムを組んでいます。
―― 生徒からの関心が高い留学説明会は、1年から6年の希望者に向けて4月に行っています。海外の大学へ行きたいというニーズも高そうですね。
信岡 いえ。国際という名前から誤解されることも多いのですが、高校卒業後すぐに、というよりは、6年間の学校生活で見つけた興味ある分野を国内の大学で専門的に学びつつ、英語は学びをより深めるためのツールとして捉えている生徒がほとんどですね。というのも、海外の大学は国内の大学とは違って、入学できても卒業することが困難な環境であったり、制度の違い、渡航や滞在費、学費など費用面から考えても厳しい現実があったりします。海外大学への進学を目標に励む生徒もいますが、留学説明会では、そういった総合的な内容も含めて中学1年のうちから情報収集をし、目的や時期、期間、予算など生徒それぞれに合った留学計画を立てることを促しています。