日本で一番若い街でも、少子化への危機感は強い
日経DUAL編集部 浦安市は「共働き子育てしやすい街」の全国編(東京を除く)1位となりました。待機児童も少ないイメージがあるのですが、子どもの数や保育需要はどんな状況ですか。
松崎秀樹市長(以下、敬称略) 浦安市は高齢化率が低く、「日本で一番若い街」と言われています。日本全体で高齢者比率が26%を超えている中で、浦安市はまだ16%。厚生労働省や内閣府からも、そういう元気な街から少子化対策の具体策を発信してほしいと言われています。
一方で、少子化に対する危機感もあります。中山間地域ではなく、こういった東京に隣接している浦安市でも、昨年小学校がひとつ廃校になったりしていて、かなり深刻なものがあると思っています。毎年、東京ディズニーランドで話題になる成人式ですが、これも平成5年がピークです。以前は2100人を超える新生児がいました。ずっとそれから下り傾向で、いくらかここ数年上向いたとはいえ、それでも1800人台です。これが現実です。
―― 保育需要は増えていますか。保育所の数などは去年と今年を比べるとどうですか。
松崎 保育園の数は年々、増えています。保育園に預けたいという需要も増えていますね。どこの市でもそうでしょうけど、供給すれば需要を喚起するんですよね。
認可保育園の数ですけど、現在で25あります。平成27年に制度が切り替わったので、そのときに4園できています。今年は1園できたので、昨年と今年で5つ新設したことになります。毎年のように新しく増えているのですが、待機児童は出ます。作っても作っても待機児童がいます。
浦安市で待機児童が少ないということが分かってくると、近隣の市区からも流入するからです。一か月に2~3人は「子どもを育てやすいと聞いてきました」という人がいます。後はディズニーランドで成人式をさせてやりたいという人もいますね(笑)。
ただ、浦安で育った子どもたちは結婚するといったん、市を出て行くんですよ。それがある程度、顕著なので、議会でも「新婚世帯に住宅手当を出せ」という声はあります。ただ、浦安市は行政サービスで住宅手当を上回るものを出していると思っています。結婚して子どもが生まれるころになって、保育園や医療費の状況や、子育てサポートやケアの施策などを比べてもらえれば、浦安市に来てくれる方は増えると思います。