お母さんの努力もあり、幼稚園や保護者も協力的に対応してくれて、秋帆ちゃんはウィッグをかぶって登園することができるようになりました。

 小学3年生のお姉ちゃんがロングヘアで、小さいころから憧れていた秋帆ちゃん。今は、腰くらいまであるロングヘアのウィッグに白い大きなリボンが付いたカチューシャをするのがお気に入りの髪形ですが、束ねたり、結んだりおしゃれをしたいので、へアドネーションでもロングヘアのウィッグをお願いするそうです。プリキュアが大好きでおしゃれに興味のある、どこにでもいる6歳の女の子です。

 「採寸の順番が来るのを待ちに待っていました。寄付してくれたドナーの気持ちも受け取って、大切にしていきたい。私も髪を伸ばしていつか寄付するつもりです」と、秋帆ちゃんのお母さんはうれしそうに話します。

 子どものウィッグは、数が少ないうえに値段も高い。100%人毛のウィッグを無償で提供してくれることと、秋帆ちゃんの頭の大きさに合ったものを作ってもらえることが、へアドネーションを選んだ決め手でした。お母さんは、年内には届くウィッグを秋帆ちゃんと一緒に楽しみにしています。

全国各地の子ども達が現在、119名採寸を待っている

JHDACの事務局長、渡辺貴一さん
JHDACの事務局長、渡辺貴一さん

 JHDACのホームページを見ると、トップページにその月の「Onewig」提供数と順番待ちの人数が大きく表示されています。2016年12月8日現在順番待ちは119名います。

 秋帆ちゃんのお母さんがJHDACに登録したのは半年前でした。ラッキーなことに、渡辺さんの採寸の都合で比較的早く順番が回ってきたそうですが、現在は登録から2年ほど待つこともあるようで、待つ年月も含め、学校の入学時期に合わせて早めに登録する人も多いそうです。

 しかし、前回の記事(「がんになり分かった弱者の気持ち 子ども用ウィッグ」)で紹介したように、病気の治療中で登録したドナーが待っている間に亡くなることもあり、「今年1年で、3人、間に合わなかった」と、渡辺さんは悔しそうに話します。

 全国各地の子ども達が採寸を待っていますが、採寸はほぼ渡辺さんがやっているので、日本中を飛び回りながらも、もどかしい思いも多く感じるようです。

 「それでも、できることをやる。僕達は社会貢献するためにこの団体を作った。今はできることをやる。それだけです」と渡辺さんは話します。