約8割の自治体「保育士の確保が課題」
首都圏など待機児童が多い市区は、認可保育所の整備を急ピッチで進めている。ただ、「保育所を作りたくても用地が足りない。土地が高い」「保育士がいない。すぐに辞めてしまう」「反対運動などがクローズアップされるにつれ、住民からの苦情が増えた」などの声も聞かれる。
そこで、認可保育所の整備を進めるうえでの課題を聞いたところ(複数回答)、78.9%の自治体が「保育士の確保」、66%が「用地・物件の確保」と回答した。「保育所周辺住民の理解」と答えた自治体も58.5%あった。
上記のなかで、最大の課題を聞いたところ「用地・物件の確保」が30.6%で最多で、「保育士の確保」(28.6%)、「財源の確保」(12.9%)と続いた。
一方、 今後の保育需要の「ピーク」を聞いた質問には、「2017年度」という回答が20.4%、「2019年度」という回答が15.6%だった。「2030年」(兵庫県明石市)、「2028年」(東京都台東区)、「2025年」(千葉県流山市、同佐倉市)などとまだまだ先に需要のピークが来ると予測している自治体もあった。一方で「ピークは2010年度で、既に需要は減少傾向となっている」という都内自治体もあった。
子どもの減少が顕著な自治体もあるが、子どもを預けて働きたい母親は増えており、保育所の需要はしばらく増え続けそうだ。
国が目標とした「2017年度末待機児童ゼロ」の目標を達成できそうか尋ねた質問でも、「達成できそう」が38.1%、「達成できなさそう」が27.9%だった。東京都内では新宿区、千代田区、杉並区、大田区、練馬区などが「できそう」と回答したが、まだまだ待機児童を全体でゼロにするのは難しそうだ。