親も子も「目の前にいる人が一番大事」を基軸に、ルール作り

 2人しかいない家庭ではあるが、シンプルなルールがある。「目の前にいる人が一番大事」ということだ。食事や話をしているときは、スマホでメッセージが来ても応答しない。

 そもそもすぐに返答が必要な緊急な話は、メッセージ経由ではやってこない。このルールは当然、親もお手本を示さなければならない。だがテレビを見なくなったのと同じように、そういうことが習慣化してしまえば、別にどうということもないのだ。家族が多ければ、そういった会話ももっと弾むだろう。

 さておよそ半年の間、皆さんにお付き合いいただいた本連載も、いったんここで終了となる。父親が子どもを引き取って一人で育てるというシチュエーションは、映画やドラマの中ではあったかもしれないが、リアルにそんなことをしているケースは現実には少ないだろう。

 筆者は自営業だし、社会人男性とはまた事情も違うが、時間を大きくやりくりして子育てに正面から向き合うという人生を選んで、自分自身の生き方を大きく見直すことができた。

 いざとなったら頼れる近所の方や、学校関係で知り合ったママ友も増えた。元妻と別れたときはすべてをリセットして、別の街に引っ越そうと部屋まで探したこともあったが、すべてをぶっちゃけて今のところに住み続けて良かったと思っている。

 離婚家庭が珍しくない現代、今の家庭や夫婦の在り方に、不満を持っている方も多いことだろう。だがそこにも「自分の気づかない幸せが確かにあったのだ」ということは、一度家庭がぶっ壊れてみて初めて気づくことである。現状に不満のある家庭をお持ちの方々には、不満が爆発する前にアドバイスしたいことはたくさんあるが、その一方で本当の核心のところは経験してみないと分かってもらえないのかもしれないとも思っている。

 また機会があれば、このようなお話をさせていただくこともあるだろう。次にお目にかかるときは、どのような家庭の形になっているだろうか。身軽な家庭なので、子どもの成長とともに柔軟に形が変わっているはずである。

 最後までお付き合いいただいたことを感謝して、筆を置くこととしたい。