PTAの役員も引き受ける。娘は大人の階段を一歩ずつ

 普段通りの生活をしています。乳がんを経験した友達には「病気をしているのに、PTAの役員を何で引き受けてるの」と心配されました。胸にメスを入れたので、季節の変わり目にうずく感じがしたり、異物が入っているという違和感があったり。痛い気がするときもあります。

 娘は小学校高学年になり、大人の階段を上り始めました。5歳から普通とは違う経験をしているので、1段2段、大人びているようです。言うことをきかなくて、反抗的な態度をします。親が厳しく叱れるのも、あと数年と思うと寂しいし、しっかり叱らなきゃいけないと思います。学校で家庭科の授業が始まって、家でも料理をやりたがり、娘が包丁やピーラーを持つと私のほうがドキドキ。「いいから勉強しなさい」なんて言ってしまいます。ついこのあいだまでアニメを見ていたのに、女子になってきて、好きなドラマやタレントさんの話をしています。

―― 子育て世代へのメッセージをお願いします。

生稲さん まず、早期発見が大事です。検診を受けてください。子育て中は毎日、忙しくて、自分のために病院に行くなんて無理な話と思いますよね。でも、ママが元気でいないと家族は幸せになれません。1年に1回、2年に1回かもしれませんが、「自分のためのごほうびの日だけど、家族のためになる」と考え方を変えると、子どもを預けて検診に行けるようになります。考え方を変えることで、早期発見できるし、何でもなければ安心感を得られます。

 私が手術を受けた2013年から、乳房の再建に保険が適用されるようになりました。放射線をあてた皮膚で再建するのに、大変でしたが…。それまで自費で100万円単位でかかっていたのが、3割負担で済むのは大きく違いますので、ラッキーな患者だったかもしれません。がんが見つかったら絶望を感じてしまうと思いますが、「全摘して再建する」という選択肢が増えました。その進歩による安心感は大きいです。

(衣装協力)