「家の買い方、マンションの選び方」特集の最後は、住宅用語や間取りについて。今回も、住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰・井上恵子さんに話を伺います。

 前半は、間取りの賢い読み方について。井上さんは、「○LDK」という言葉に惑わされないで、とアドバイスしています。それはなぜでしょうか?

 後半は、知っていると得する住宅用語についてです。特に、これから家を買う人に知っておいて欲しいトピックとして、「スマートハウス」や「省エネ性」について解説します。

【家の買い方、マンションの選び方 特集】
第1回 戸建てとマンションどっちがわが家に向いている?
第2回 ハウスメーカー徹底比較!後悔しないメーカー選び
第3回 モデルルームで煽られない!この5カ所は見落とすな
第4回 家購入までのプロセスと夫婦の役割、注意点
第5回 「5LDK」の落とし穴、賢い間取りの読み方とは? ←今回はココ

部屋数に惑わされてはいけない

 間取りの読み方についてアドバイスを求めると、井上さんからは気になる言葉が。「”○LDK”の数字にだまされてはいけません」

 3LDKよりも4LDKが、4LDKよりも5LDKのほうが、「部屋が多くて広い家」…とイメージしがちです。それは間違いなのでしょうか?

 井上さんに、賢い間取りの読み方について教えて頂きます。

「質が良い間取り、悪い間取りがある」と井上恵子さんは言います。
「質が良い間取り、悪い間取りがある」と井上恵子さんは言います。

間取りの賢い読み方

01. 部屋、区切りすぎじゃないですか?

 間取りというと、よく、「2LDK」「3LDK」という表現をしますが、その数字にだまされないようにしてください。「5LDK」と聞いて、「わあ、部屋が多くていい!」と舞い上がらないように。それらは本当に“使える”部屋でしょうか。

 例えば、4.5畳や5畳のような小さい部屋をたくさん作って「5LDK」とうたうような、質の悪い間取りもなかには存在します。部屋が細かく区切られていると、まず、風の通りが悪くなります。また、子どもが小さいときには子ども部屋に使うつもりでも、子どもが大きくなったあとまで考えれば、結局そういう部屋は、物置にしかならない可能性が高いと思います。

 小さな部屋がいくつもあるよりも、広い空間があったほうが、何かと融通がききます。今は、高性能な間仕切りなども売っていますから、そういうものを活用して、子どもが小さいうちは広いリビングを仕切って使う、子どもが家を出たら、また広いリビングとして使う、というようなやり方をすると、賢いと思います。

 部屋の数が多ければいい、と思い込まないように、注意しましょう。部屋数だけでなく、きちんと間取りの中身を見ることが大切です

<次ページからの内容>
・賢い間取りの読み方(つづき)
─ 「床面積にどこまで含んでいますか?」「その部屋にエアコンはおけますか?」「20年後も暮らせますか?」
・知って得する住宅用語と注意点
─ 「スマートハウス」で家庭のエネルギー消費をコントロール
─ 2020年に義務化される「省エネルギー基準」とは?
─ たかが窓、と侮るなかれ。「複層ガラス」で夏に涼しく、冬に暖かい住まい