ケータイ・スマホの所持開始年齢が下がるとともに、保護者は新しい問題に直面せざるを得なくなってきています。「スマホ事件簿」でおなじみのITジャーナリスト・高橋暁子さんによる連載「Q&A 子どもとネット いい関係」では、ネットやスマホ周辺におけるよくある疑問や悩みをデータとともに取り上げ、それに対する回答を模索していきます。

Q. 子どものインターネット利用において、どんなルールが必要?

インターネットは便利だが、誘惑や危険が多いツールでもある。依存状態になってしまう子どももいるし、危険な目やトラブルに遭ってしまう子どももいる。それを防ぐために有効なのが、家庭でのルール作りだ。

子どもにインターネットを使わせる場合は、使い始める前にルールを決めてから使わせることが大切だ。自由に使わせてから後で制限しようと思っても難しいので、忘れずに決めておきたい。

しかし、「どのようなルールを決めたらいいの?」と迷う家庭も多いはず。そこで、家庭でルールを決めている割合と効果を整理するとともに、具体的なルール作りまでを見ていきたい。

ルールを決めることの効果は高い

 まず、ルールを決めている家庭の割合と効果を見てみよう。

 小中高生と保護者を対象とした警視庁の「子供の携帯電話やインターネット利用について」(2016年5月)によると、小学校5、6年生でも携帯電話やインターネットにやや依存している割合が22.6%あり、高依存群も2.7%いる。依存度が高くなると、「夜寝る時間が遅くなった」(72.9%)、「勉強する時間が減った」(60.9%)など、マイナスの行動変化が見られる点は見過ごせない。

 携帯電話やインターネットの利用について「家庭でルールを決めている」と答えた割合は、小学校5、6年生で58.2%、保護者は67.9%だった。子供より保護者のほうが割合が高いのは、保護者は決めているつもりでも子どもはそう思っていないなどの理由が考えられる。

 「ルールがある」と回答した少年に対して、ルールを守っているか尋ねたところ、低依存群で「守っている」(55.6%)、「だいたい守っている」(38.5%)と約9割が、高依存群でも「守っている」(17.7%)、「だいたい守っている」(51.1%)と約7割が守っていると答えている。つまり、ルールを作ればほとんどの子どもがルールを守るのだ。ルールを決めることには効果があることが分かるだろう。

 なお、年齢が上がるごとに依存は強くなる傾向にあるにもかかわらず、ルールを決めている家庭は減少する。家庭ごとに、子どもの年齢や利用状況に応じたルールに随時アップデートしていくといいだろう。

出典:警視庁
出典:警視庁

 未就学児も含めたルールを決めている割合もご紹介しておこう。未就学児と小学生の保護者を調査対象とした総務省情報通信政策研究所の「未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書【概要版】」(平成27年7月)によると、4歳児以上の子供の保護者の約8割、0~3歳児の保護者の約6割は、子どもの情報通信端末利用に当たって約束ごとを決めている。

 タブレットやスマートフォンなどは楽しく魅力的なツールであり、YouTubeなどを見始めると止まらなくなる子どもは多い。事前にルールを決めておくことで、子どもにも「お約束だからもうやめようね」と言いやすいなどの効果がありそうだ。