「長期雇用」を前提として作り上げた家族的な風土

ウロロジー事業部・事業部長・伊藤昭人さん
ウロロジー事業部・事業部長・伊藤昭人さん

 同事業部の事業部長である伊藤昭人さんは、仕事上の連絡や状況報告だけでなく、物理的に一緒にいない部下の状況把握とコミュニケーションにも電話を活用しているという。「今日、何だか元気がなかった」と耳にしたり、しばらく話をしていなかったりする部下に対しては、思いついたときにぱっと電話をかけて話を聞く。

 「『元気ないみたいやけど、どうしたん?』と。みんなもう、僕がこういうざっくばらんな性格だってことは知っていますから、たいていは隠さずに話してくれますね」(伊藤さん)

 「外資系企業の営業」と聞いて、徹底した成果主義を想像する人は多い。実際、伊藤さんも過去の就業先でそうした働き方を経験したという。一方、クックジャパンは2012年末から定年を68歳に引き上げ、終身雇用に近い働き方を推奨している。

 「50代の部下にはいつも『看取ってやる』と冗談を言っていますが、半分は本気ですよ。これだけ長く一緒に働くとなると、本当の家族のようなものです」(伊藤さん)

ウロロジー事業部・佐々木純さん
ウロロジー事業部・佐々木純さん

 こうしたマインドは、伊藤さんとは前職からの付き合いだという佐々木純さんをはじめ、各メンバーにも脈々と受け継がれている。

 地域ごとのチーム制が導入され、中日本チームのメンバーとなった佐々木さんは、「何のために働くのか」、そのために「どういうチームを作るのか」をメンバー個々のマインドからひも解き、互いに助け合うことで成り立つ家族的な風土を作り上げていった。

 「ホームオフィスというシステムは、どうしても“個人商店の集まり”になりがちです。しかし、長期雇用を前提とするなら、互いを理解し合い支え合うチーム意識が不可欠。同年代の子どもがいて共働きであるなど、たまたま属性が似ているメンバーがそろったこともあって、家族第一で働きたいという共通した思いをもとに結束を強めていきました」(佐々木さん)

 こうして、ひときわ家族的で、ユニークかつオリジナルなチームが出来上がった。1回目の育休から復帰した摂津さんが属することになったのも、この中日本チームである。