お手伝いを通じた子どもとの関わりを考え直すことで、家庭をより豊かに、親子のコミュニケーションにも役立ててもらおうと企画した「お手伝いする子は脳と心が伸びる! 特集」。幼児期からの食育を40年以上前から行い「1歳からの台所育児」を提唱してきた料理研究家・坂本廣子さんは料理が自分で作れるという幼児期からの経験は、「脳を育て、自己肯定感を生む」というよい影響があるとともに、段取り力や分析力、応用力、問題解決力も身に付くと語ります。

神戸で行われる子ども料理教室「キッズキッチン」の2~4歳クラスの様子を通じて、台所育児の魅力と適切な親の関わり方について教えてもらった前回に引き続き、今回は、1歳からできるお手伝いのポイントや家庭内での子どもに合わせた環境づくり、坂本さん自身の台所育児について詳しく聞いていきます。

【お手伝いする子は脳と心が伸びる! 特集】
第1回 相良敦子 モンテッソーリに学ぶ1歳からのお手伝い
第2回 3歳からは「二度目のチャンス」 知性を育むお仕事
第3回 1歳からの台所育児 6歳までの経験が脳を伸ばす
第4回 食の自立は生きる力そのもの 科学への興味の芽 ←今回はココ!
第5回 子の就職力を高める 「ヒマ・貧乏・お手伝い」習慣

台所育児は楽しいけれど、遊びではありません

 「食事を作りながら、子どもと触れ合える」「生きる力を育むことができる」と思うと、まずは休日や休前日の夜など、少しゆとりがある日から、無理なく試してみたくなる台所でのお手伝い。でも、子どもの年齢や個性によっては、集中して取り組めることもあれば、興味が長く続かないこともあります。そのさじ加減を、坂本さんはどうしているのでしょうか。

 「大人と同じ本物に触れられる体験はとても楽しく、どの子でもそれなりに一生懸命取り組むものです。でも、1~2歳のうちはなかなか興味が長く続かなかったりすることもよくあります。まじめにやっていて散らかる分にはいいのですが、クッキー用に粉を練るのがいつの間にか粘土遊びになってしまったなど、遊びになってしまったときはその日はそこでおしまい。どんなに小さな子どもでも『食べ物で遊んではいけない』とけじめをハッキリしておくことは、その後にもっと危ない火や刃物を使い始めたときに気がゆるまないようにするためにもとても大切なことです。また、包丁を使うときには『止まってって言ったときにとまれるかな? そのお約束ができたらしよう』と約束ができてから、子どもに渡すようにしましょう」

 大人と同じ完璧なできあがりを求めなければ、台所でのお手伝いを始めたばかりの子でもそれなりにできるものという坂本さん。

 「例えば、台所に立っているお母さんと遊びたくて、ただまとわりついている場合などは一番簡単な“だしとり”や“お米とぎ”などをさせてあげると喜びます。実は、子どもには洋食よりもむしろ和食のほうが向いています。小さい子ほどコツのいらないもの、素材の味が一番生きる最小限の調味料でできるものが良いでしょう。まずは1品を任せるところから。この献立をつくるのにこの段取りでやるといけますよ、という見通しを初めに見せることで、全体の中のどの部分をやっているかが分かるんです。自分が親から聞いた話を子に伝えながら、自分の体験や思いもそこに加えていければいいなと思います」

だしとり、お米とぎ、野菜切り……1歳からできるお手伝いのポイント

 子どもの台所デビューにおすすめなお手伝い内容とそのポイントを坂本さんに教えてもらいました。

【1歳からできる台所育児 お手伝いのポイント】

●だしをとる
だしをとる鍋は決めておいた方がいいでしょう。カップで2杯などという覚え方でもいいですが、お鍋の目分量でも覚えておけば失敗が少なくてすみます。基本の出汁(4人分)は、鍋に水700mlと10×10cmの昆布を入れて数十分置いた後、昆布が大きくなったら火にかけて、ぷくぷく煮立つ前に取り出します。そして、かつお節8gを入れてふわっと温めたら火を消して、かつお節がしずんだらこす。昆布とかつお節をすくう作業が金魚すくいのようで楽しい作業です。

●お米をとぐ
子どもにお米をといでもらうときのポイントは、ボウルとざるを用意すること。ボウルでといで、お米をこぼさないように水を切るのは子どもには少し難しい作業ですが、ざるがあればといだ後でざるを引き上げればいいだけなのでとても簡単。お米にかぶるくらいに水を入れて漬けておくと、しばらくして透明感のあった米粒がだんだん真っ白になっていきます。そうなれば水の吸い終わり。炊くときの水加減は、内釜に目盛もついていますが、お米の上にどれくらい水が出ていればいいのか手ばかりを教えることで体で覚えられ、どんな釜でもご飯が炊けるようになりますよ。

●たまねぎの皮をむく
「茶色のところだけ手でむけばいいのよ」と教えればいいのですが、問題は頭が茶色で下は食べられるところという最後の1、2枚のところ。半分に切ってからむくと分かりやすいですよ。

●アスパラガスを切る
根元のほうは固いことが多いので、ゆでる前に手で折ってみて折れるところから食べます。アスパラガスを食べやすい大きさに切って、お鍋に入れ蓋をすると、大さじ2杯または50cの水で簡単に蒸し上がります(ブロッコリー、キャベツなどアクのない野菜でも代用可)。それにしょうゆとかつお節で「おかか和え」。ゴマをかければ「ゴマ和え」と、子どもでも簡単に1品が作れます。

●じゃがいも、だいこん、にんじん、きゅうりなど皮むき
皮むきはピーラーを使えば上手にできるようになります。皮をむくものは手で持つのではなく、ピーラーの刃が手に当たらないように皮をしっかり押し付けながらまな板の上に置きます。皮をむくものをしっかりと押さえて刃が手に当たらないようにピーラーを引きましょう。皮をむいてから、包丁で切るときには、まず縦に半分に切って断面をまな板にピタッとくっつけて置けば、動きにくく、扱いやすくなります。

※参考資料「坂本廣子の台所育児 一歳から包丁を」P36より

【次のページからの内容】
・台所で作業する環境は身長差の調整が肝心 包丁&火を扱うルール
・“科学”を生活の中で体験 発見が興味を育む
・3~4歳でおかず二品 小学低学年で一食の献立決めから調理までを一人で作れる
・食を通じた前向きなコミュニケーション グローバル環境でも生き抜く力

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