統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。読書が良いことは分かっていますが、データではどのように示されるのでしょうか。またどうやったら子どもが本を読んでくれるようになるのか、頭を悩ませたことはありませんか? 今回は子どもの読書について、解説します!

子どもの人間形成に、読書は大きく資する

 こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。秋にちなみ、今回は子どもの読書のお話です。子どもの人間形成に、読書は大きく資するといいます。

 それに鑑み、子どもの読書活動推進に向けた取り組みが国を挙げてなされ、法律までできているのですが、その法律(子どもの読書活動の推進に関する法律)の第2条では、次のように定められています。

 「子ども(おおむね18歳以下)の読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない」

 いいことが書いてありますねえ。

「日本の子どもは本を読まない」は間違い

 では、当の子どもは実際にどれほど本を読んでいるか。OECDの国際学力調査「PISA 2009」のデータで、日本の15歳の実態をみてみましょう。約6千人の大規模サンプルで、本の種類ごとの読書頻度を知れるのがミソです。

 読む頻度を5段階で答えてもらっています。マックスの「週に数回読む」に注目すると、コミックが49%(半数)と最も多くなっています。いつの時代でも、子どもはマンガを好むもの。われわれもそうでした。

 その次は新聞で38%となっています。ネットで読む分も含まれているでしょうが、思ったより新聞を読んでいるのですね。雑誌は34%、多くは『週刊少年ジャンプ』などのマンガ雑誌でしょう。フィクション(小説)は21%で、お堅いノンフィクション(論説)となると、さすがにあまり読まれないようです。

 ちなみに「週に数回読む」の割合は、多くが他国と比べて高くなっています。例えば米国は雑誌17%、コミック4%、フィクション15%、ノンフィクション6%、新聞16%で、ほとんどが日本に軍配が上がります。

 「日本の子どもは本を読まない」などというのは、間違いでしょう。しかし、コミックの差が大きいですね(日本49%、米国4%)。言わずもがな、マンガは日本を代表する文化であるためです。

 子どもの読書活動の推進に関する法律では、読書は「言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなもの」にするうえで効果的と言及されているのですが、そうであるならば、読書の頻度は学力と関連しているのではないか。とりわけ、読解力との関連は明瞭なのではないか。こんな仮説が浮かびます。

 データでそれを検証してみましょう。