親は何をなすべきか

 さて、表1のデータから、読書の効果が少なからずあることが分かりました。絵入りのマンガだけでなく、活字一色の本も読むよう、子どもを仕向けたいものですね。子どもの読書活動の推進に関する法律でも、「父母その他の保護者は、子どもの読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすものとする」と定められています(第6条)。

 親は何をなすべきか。子どもが本に簡単に触れることができる環境を、自宅の中につくるというのはどうでしょう。データによると、自宅の蔵書数が多い生徒ほど、本をたくさん読む傾向にあります。自宅の蔵書数と小説を読む頻度の関連をグラフにすると、図2のようになります。

 組み立てのスチール本棚を何台か買って、何でもいいから本をそこに詰め込む。中古書店で100円文庫を大量に買う、図書館の古本放出市を利用する、図書館で限度いっぱいに借りるなど、色々手はあります。

 私が住んでいる多摩市の図書館は、貸出冊数の限度はありません。私に子どもがいるとしたら、図書館から借りた本を置く専用棚を作って、1~2週間のスパンでジャンルを入れ替えるなどしますね。

 こういうことは子ども本人がすべきですが、自発的な行動がない場合は、親がテコ入れをして、子どもを本で取り囲んでしまう環境をつくることも必要になります。小さいお子さんがいるご家庭では、さしあたり『学習まんが 日本の歴史』シリーズを置くことから始めたらいいと思いますが、いかがでしょう。

 同時に、親御さん自身も本を手に取ってください。総務省『社会生活基本調査』(2011年)のデータによると、30代の男女(小学生の親世代)のうち、趣味としての読書を過去1年にしていないという者が6割もいます。これでは、「本を読め」と子どもに口うるさく言ったところで、説得力はゼロです。

 子どもは親の姿を見て育つ。自身も書を手に取り、無言の範を示そうではありませんか。