新聞を読むことですべての学力がアップ?

 本を読む頻度に応じて、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの平均点がどう変わるかを調べました。学力は家庭環境と強く相関しますので、父親の学歴が大卒以上の生徒に限定しています。本当は家庭の年収(経済力)をそろえたほうがいいのですが、それはできませんので、次善の策として親の学歴の影響を除いた次第です。

 数字が多く見づらいですが、黄色マークは、「読む頻度が高いほど平均点が高い」というリニア(直線的)な傾向が認められる箇所です。例えばフィクションを読む生徒ほど読解力の平均点が高い傾向にあり、ほとんど読まない群(501点)と週に数回読む群(576点)では、平均点が70点以上も違っています。

 小説を読む生徒ほど読解力が高い。これなどは、因果関係と認めてもよいのではないでしょうか。赤字は、E群がA群よりも平均点が有意に高いことを意味します。小説、論説、新聞の効果はありそうですね。

 しかし、新聞はスゴイ。すべての学力に、明瞭な影響を与えています。活字だけでなく、データやグラフなども出てきますので、理系の学力アップにもつながるのでしょうか。予想ですが、問題解決力の多寡ともプラスの相関があるのではと思います。社会問題への認識が強化されますからね。

「マンガなど読むべきでない」というのは極論

 好んで読まれるコミック(マンガ)は、学力とはあまり関連していません。読解力については、ほとんど読まない群が552点、週に数回読む群が549点と、マイナスの影響すら見られます。雑誌もそうです。

 しかるに、「マンガなど読むべきでない」というのは極論に過ぎるでしょう。絵入りでストーリーを分かりやすく伝えるマンガは、日本の誇るべき文化です。マンガの中にも活字はあります。絵に魅せられてストーリーを追うのは、量は少ないとはいえ、活字を読み進めることと同じです。私の中学時代の国語教師が、「マンガでもいいから読め」とよく言っていました。

 私は子どものころ、『キン肉マン』をよく読みましたが、昔のコミックは漢字にルビが振ってないのですよね。話の展開を追いたいばかりに、読み方を親に聞いたりして、上の学年で習う漢字を先取りして覚えちゃう。こんなこともできたように思います。

 歴史にしても、マンガを読ませるといいと思うなあ。年少の児童の場合、そのほうが頭によく入るでしょう。私は、小学館の『学習まんが 日本の歴史』シリーズを読破しましたね。マンガの力を侮るなかれ。