神経質で癇癪を起こして泣きだすわたしと、天真爛漫な弟を分けた要因は……

 体が小さかったから、というのもあっただろう。運動がからっきし苦手だったというのも大きかった。男の子の世界では、それだけでヒエラルキーが決まってしまうところもある。ただ、今になって振り返ってみれば、あのころのわたしがいじめの対象になることが多かったのは、わたしの性格、立ち居振る舞いにも原因があったように思える。

 とにかく神経質で、物事が思い通りに進まないとすぐ癇癪を起こし、挙げ句の果ては泣きだしてしまう──周囲からすれば、いじめというよりも面白がってちょっかいを出したくなる対象だったのかもしれない。

 一方で、4歳年下の弟は、兄の目から見ても「天真爛漫」という言葉がぴったりの存在だった。とにかく、どこへ行っても物おじしない。わたしがボーイスカウトに入ると、弟もおまけのように行事にくっついてくるようになったが、なかなか集団に溶け込めない兄を尻目に、弟の周りには常に笑顔の人だかりができていたような印象がある。

 で、思うのだ。

 あれって、弟のほうがいい意味で放ったらかしにされてたからなんじゃないのかな、と。

 わたしと弟は4歳離れているが、弟と妹は1年10カ月ほどしか離れていない。今では母親が笑い話にしているが、至れり尽くせりで育てられたわたしに比べ、弟にかかりっきりだった時間は圧倒的に短く、また、雑だったという。弟からすれば、必然的にたくましくならざるを得ないところがあったのだろう。

 兄よりも弟のほうがたくましいというのは、カネコ家に限った話ではない。Jリーグやプロ野球の選手名鑑を眺めていると、プロのスポーツ選手にはずいぶんと長男が少ないことが分かる。この少子化のご時世だというのに、一人っ子の選手も圧倒的な少数派である。

 他の世界のことは知らないが、弱肉強食の世界で生きていくためには、ひ弱な長男よりもワイルドな弟くんのほうが適している、ということなのかも(どうでもいいけど、政治家の世界とかって、やたら長男が多そうだ)。

 というわけで、できるだけ子育てには雑なところを加味しておきたいわたしである。