「カリスマ転職エージェント」として激務をこなしながら、2人の息子を育てる森本千賀子さん。「日経DUAL」の連載「家族も仕事も『両方大事』でいいじゃない」では、子どもを育てながら仕事を楽しみ、希望のキャリアを築き上げていく方法を語り、多くのワーママを勇気づけています。そんな森本さんが、昨年から今年にかけて「長男の中学受験」というビッグイベントを体験。その1年を振り返り、体験エピソードとメッセージを語ってくださいました。前回の記事「小6の春休み 息子が『中学受験する』と言い出した」「親は多忙 家庭教師と共に受験に立ち向かった息子」では、小6を目前にした春休みに「中学受験をする」と言い出した息子と共に、4人の家庭教師の先生方と、急遽、受験勉強を本格化させたストーリーを追いました。今回はそのクライマックス。受験本番を迎えた時期のアクシデントとそれにどう対処したかを語ります。

1週間会社を休み、「ただそばにいる」

 「やばいよ、千賀子さん。このままでは第一志望どころか第二、三志望も……」

 1月、「予行演習」的に受験した1校目で合格。調子づいたところで受験した2校目では不合格となり、長男の気持ちは目に見えて落ち込んでいました。算数の家庭教師であり、息子のメンタル面のコントロールにも配慮してくださっていた安浪京子先生は、私にこう言いました。

 「彼のそばにいてあげて。何も言わなくていいから、ただ温かい食事を用意してあげてください。お母さんがそばで見守っているだけでいいんです」

 私は、「1週間会社を休む」と腹をくくり、お客さまにお詫びの連絡を入れて当面のアポイントをキャンセル。翌日から仕事を休みました。京子先生の言う通り、食事を作ってあげる以外は特に何をすることもなく、ただ家にいたのです。

 そうする間に、息子の気持ちは少しずつ戻ってきました。1週間後には、再びやる気が湧いてきているのが、彼の背中から見てとれました。落ち込んでいたときとは明らかに異なる、前向きなオーラを発していました。調子が戻らなければもう1週間休もうと考えていましたが、「もう大丈夫」と感じたので、次の1週間は出社して最低限の仕事だけをこなし、早く帰宅するようにしました。