調子づいた後には落とし穴も……

 年が明け、1月に入りました。長男が通う小学校は公立ですが、同級生のほとんどが中学を受験するため、登校せず、自宅で受験勉強に取り組みます。息子も、午前中は家庭教師の先生に来ていただき、午後は誰もいない家で1人で勉強。試験が目前に迫る中、さすがに本人も危機感を覚え、集中して取り組んでいたようです。

 12月の終わりからは成績が伸び、模試ではごくまれに第一志望が合格圏内に入ることも。親子共々、「いけるかも」という淡い期待と手応えを感じていました。

 そして、1月、手始めに受験した某中学校で見事合格したのです。

 1校目の合格で調子づいた息子でしたが、その後に落とし穴が待っていました。1月下旬に受験した2校目で落ちてしまったのです。調子が出なかったのか、問題との相性が良くなかったのか、試験会場から出てきた時点で、彼はいかにもどんよりとしたネガティブオーラに包まれて相当に落ち込んでいました。そこからすっかり自信を失い、投げやりになってしまったのです。気持ちが落ちてしまっているのが、見た目にも明らかでした。

 「やばいよ、千賀子さん。このままでは第一志望どころか第二、第三志望も……」

 京子先生からの深刻な忠告を受け、私はある決意をしました。

 「私、これから1週間、会社を休みます」

 面会のアポイントがあったお客様に急遽お詫びの連絡を入れ、翌日からどうしてもという予定以外はリスケして自宅にこもり、息子に寄り添うことにしたのです。

――次回、息子の受験がどんな結末を迎えたか、振り返って私が感じていることをお伝えします。

(ライター/青木典子、撮影/鈴木愛子)