就職、転職、独立、そして、結婚、出産、育児……女性の人生はいくつものライフイベントによって彩られ、同時に多くの迷いも生まれるもの。社会の第一線で活躍する女性から、人生の転機とその決断のポイント、充実したライフ&ワークのために大切にしている価値観を聞くこの連載企画。今回登場いただくのは、教育・保育・介護サービスを展開するポピンズ取締役の轟麻衣子さん。日経DUAL編集長の羽生祥子がインタビューします。

待機児童解消という社会課題に向けても貢献していきたい

羽生編集長(以下、羽生) 今年3月に発表しました「DUAL独自調査 家事代行&シッタ―サービスランキング」では、シッタ―サービス部門で堂々1位を獲得されました。取締役の轟麻衣子さんは、2児の子育て中のまさにDUAL世代。しかも、私と同い年だそうで、とても親近感を感じております。

轟さん(以下、敬称略) ありがとうございます。ランキングでは大変励みになる結果をいただき、全社スタッフ一同、喜んでおりました。

羽生 麻衣子さんはポピンズを創業された中村紀子さんのお嬢様ということで、2010年から経営に参画されたと聞いています。それまでのご経歴をあらためて教えていただけますか。

 はい。私は日本で生まれ幼少期を過ごした後、12歳で単身渡英しましてロンドンの中高一貫校に留学し、寄宿舎で暮らしていました。高校卒業後は受験をしてロンドン大学に進学し、フランス語を専攻していた関係で、在学中にパリ・ソルボンヌ大学にも一年ほど留学しました。卒業後はそのままロンドンで就職し、はじめは金融業界におりましたが、ラグジュアリーブランドに移ってブランドマネジメントに携わりました。祖父母の介護のために1、2年ほど日本に帰国し日本支社で働き、INSEADでMBAを取得するためにまた海外へ。同級生だった夫と知り合って結婚し、日本に帰ってきて今に至ります。

羽生 何度聞いても溜息が出るほど、華やかな……。

 いえいえ。海外生活が長いだけで。

羽生 ご家族構成について、伺ってよろしいですか?

 母はご存知のとおり当社の創業者でして、両親の離婚後、父とは離れて暮らしております。私は母と祖父母に育てられました。その祖父母も10数年前に他界しまして、今は夫と子どもたち、母との生活です。夫はコロンビア生まれフランス育ちのイギリス人。息子が6歳、娘が4歳になりました。

羽生 ポピンズの経営に顧問として入られたのが2010年ということですから、ちょうど母になられたタイミングですね。そして2012年に取締役として本格参加されたと。

 はい。次世代に向け、後継者として意志を持って役割を拝命しました

羽生 従業員の方は何人いらっしゃるんですか。

 従業員だけですと2800人ほどで、そのほかにナニーやケアスタッフ、子育てサポーターと呼んでいるサービスに従事するスタッフが約2500人。事業としては大きく分けて4つ、教育、ナニー(教育ベビーシッター)、シルバー(介護)、ナーサリースクール(保育園)があり、このうちナーサリースクールが規模としては一番大きな事業となっています。全国に161園ほど運営していまして、今後も25園がオープン予定です。待機児童解消という社会課題に向けても貢献していきたいと考えています。