中学生になると仲間意識が強くなり、やや排他的になる

渡辺 原因は色々あります。1つは、小学校中学年くらいは、集団でワイワイやっていたのが、中学生くらいになると、同じ趣味や服の好みなどをもとに仲間(チャムグループ)をつくって、やや排他的になりがちです。仲の良い人をつくると、一方でそれ以外の人を外に排除する力が働きやすい。また、昔は、クラスに必ず正義感がある子がいて、リーダーシップをとっていましたが、最近では、リーダーになった人もいじめられる、という恐れもあって、みんなを束ねる人が少なくなりました。誰かをいじめているほうが、いじめられない、という防御の心理が働いている場合もあります。

<span style="font-weight: bold;">渡辺弥生</span>(わたなべ・やよい) 大阪府生まれ。専門は発達心理学・発達臨床心理学、学校心理学。教育学博士。筑波大学卒業、同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学教育学研究科、カリフォルニア大学サンタバーバラ校で在外研究員を経て、現在、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。著書に「中1ギャップを乗り越える方法」(宝島社)、「子どもの『10歳の壁』とは何か? 乗りこえるための発達心理学」(光文社新書)など多数
渡辺弥生(わたなべ・やよい) 大阪府生まれ。専門は発達心理学・発達臨床心理学、学校心理学。教育学博士。筑波大学卒業、同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学教育学研究科、カリフォルニア大学サンタバーバラ校で在外研究員を経て、現在、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。著書に「中1ギャップを乗り越える方法」(宝島社)、「子どもの『10歳の壁』とは何か? 乗りこえるための発達心理学」(光文社新書)など多数

―― 中学での問題行動を防ぐために、早いうちから親が意識すべきことはありますか。

渡辺 中学で問題行動が起こりやすいからといって、親が不安ありきの育て方になるのは良くないと思っています。それよりも、自分の子どものいいところを探し出し、「この子が得意なことを伸び伸びやっていってくれたらいい」と大きい気持ちを持つことが大事です。今は、そういう気持ちが欠けていて、小さいときから、「けんかしないように」「迷惑かけないように」、と、「ないように」「ないように」ばかりになり過ぎ。すると子どもは、余計傷つきやすく、敏感になります。

 また、親は子どもの悪いところを性格のせいにしがちですが、性格のせいにしてレッテルをはると、子どもはますますそっちに行ってしまいます。子どもを性格のせいにするのは親の無意識の責任転嫁でもあります。それよりも、いいところを見つけてあげるのが大事。苦手なところは性格ではなくスキルがまだ未熟だと捉えて、分かりやすく教えてあげましょう。子どものいいものを探して、伸ばす気持ちがあると、それが子どもに伝わって、自己肯定感の高まりや親への信頼につながります。