カヨさんは今年3月、10年近く勤めた企業を退職しました。在職中、3人の子どもを産み、管理職にも昇進。恵まれた条件のようですが、実際は上司が変わったり、会社の構造が変わったり、自分の目指す仕事ができなくなってしまったからです。社員が何となく居残る長時間労働の習慣にも、疑問を感じていました。

<前編はこちら> 夢を叶える40代へ ぬるま湯の大企業を退職

小さな会社で「自分で工夫する」楽しさを知る

 カヨさんは4月に転職しました。中国の企業が東京オフィスを立ち上げるため、友人に誘われていたのです。カヨさんのキーワードは「中国」。学生のころ留学して以来、中国語が得意。3年半ほど、現地で仕事をした経験もあります。新しい会社は広告代理店で、来日する中国人向けに、ショッピングの携帯アプリを立ち上げています。 スマートフォンを使う中国人は多いので、他にも、開拓できる分野があるそうです。小さな会社ですが、ビジネスのノウハウを学べると思い、前に勤めていた会社を辞める決心がつきました。基本は週3回の勤務、という柔軟さも魅力です。

 手始めに、カヨさんは、会社のホームページの立ち上げをほとんど一人でやり遂げました。HPは会社の顔になるので、外注するかどうかから考えました。トップページのデザインを提案したり、デザイン会社とトラブルが起きて交渉したり。自分で文章を入れ、見出しも付けました。努力が見える形になって、充実感でいっぱいになりました。

 小さな会社に転職して、発見がありました。以前の会社はそれなりの規模で、環境も整っていました。職場でコーヒーも飲み放題、備品もふんだんに使えました。今の会社には備品もなく、ボールペンやノートも自分で用意します。コピーをとるのも、節約のため「本当に必要なの?」と聞かれます。それがかえって、自分で工夫してやっていかなきゃ、というやる気になります。