待機児童解消を公約に掲げた小池百合子氏が、今年8月、東京都知事に就任しました。このたび、日経DUALは小池氏へのインタビューを実施し、子育て世代が知りたい様々なホットな質問を都知事に投げかけました。インタビュアーは認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹氏と、日経DUAL編集長の羽生祥子の2人、全3回でお届けします。
 最終回の今回はリーダーシップ論と、政治家として大切にしていることについて聞きました。

【第1回の記事】
小池百合子インタビュー 保育園不足、働き方改革
【第2回の記事】
小池百合子都知事 保育士の確保に本気で取り組む

コンセンサスの時代からコンビクションの時代へ

日経DUAL編集長 女性初の都知事である小池知事のリーダーシップ哲学について伺わせてください。環境大臣時代に実現した「クールビズ」しかり、現在、進めていらっしゃる「食の安心・安全」しかり、異論反論ある中でブレずに意志を貫いて推進する姿に、勇気をもらっている女性は多いと思います。リーダーとして結果を出すための秘訣はありますか?

小池百合子さん(以下、敬称略) 都知事としてまだ成功しているわけではないので秘訣も何もないのですが、以前、イギリスのサッチャー元首相の講演を聴きに行ったことがありました。そのお話の中だったか、著書の中だったか、彼女の言葉として印象に残ったのは、「コンセンサスの時代から、コンビクションの時代に変わった」というものでした。

 コンセンサスというのは日本独特の根回しにも通じる「合意」のことで、意思決定のプロセスとしてこれはもちろん大事ですね。一方で、コンビクションというのは「説得」なんです。まさに「これをやります」と明確に掲げて「こういうことだから、こうしなければならない。やる必要がある」と言って回って、理解や協力を集めていく。つまり、最初に決意があって仲間を増やしていくという手法ですね。

 日本はこれまで「皆で決める」という文化でやってきて、それもいい面はあるのですが、決定まで時間がかかるというデメリットが大きかったと思います。世の中を変えていこうと思ったら、少しとがった思想で信念を持って引っ張っていかないと何も変わりませんよね。世界の変化スピードが速くなっている中で、従来の意思決定では追い付いていかないのではと思い、私は「こうあるべきだ」と先に掲げることを重視して、都知事として実行できる立場になれば、すぐに実行に動くということをやっています

―― まさにそのように見えます。