10月24日、いじめ防止対策を議論する文部科学省の有識者会議が、学校の教職員は「いじめ対策と自殺予防を業務の中でも最優先にすること」という提言案をまとめた。
これはつまり、学習指導や部活動、生活指導よりも「いじめ問題に対応するように」と専門家が教職員へ自覚を促したということ。平成25年に施行された「いじめ防止対策推進法」が3年目を迎えるに当たり、基本方針の見直し案と議論されてきたもので、今後、法律が改正される可能性もある。
いじめが原因と思われる自殺の報道があるたびに、「学校内での情報共有が十分ではなかった」という問題点が、自殺した子の親や第三者委員会などに指摘されている。一方、いじめ防止対策推進法が整備されたことによって「学校側のいじめに対する姿勢が変わってきている」と証言する関係者の声もある。
法律ができたことにより、学校内のいじめは減ったのだろうか。特集では学校関係者、学者、いじめ問題に取り組むNPO法人などの専門家の意見を聞きながら、いじめ問題について考える。
小学生のいじめ認知件数が8年間で2倍以上に
ここに、「いじめの認知件数の推移」というデータがある。いじめ防止対策推進法が施行された翌年の平成26年度のデータによると、小学生のいじめの認知件数は約12万2700件。中学生が約5万2900件であるのに比べると、2倍近い数に驚く。同じ小学生の認知件数だけで見ても、平成18年度の約6万件と比べて2倍以上の数字だ。なぜ、小学生のいじめが増えているのだろうか。