アイデア自体は価値がない。やりきれるかどうかが大切
すでにアメリカやヨーロッパでは「プライマリーリサーチ」という詳しい人に聞くという文化はあり、シンガポールなど他のアジア諸国にサービス展開。けれど、日本にはなかったため、最大手の会社に理由を聞きに行ったといいます。
「日本は、需要はあるけれどアドバイザー側の獲得が難しい。副業禁止や日本人は得てして『自分なんてまだまだ』という考えがある、と言われたんです。これはローカルの私がやる意味がある、と思いました」
そこで、業界業務の経験豊富な「その道のプロ」に、1時間からピンポイントに相談できるスポットコンサルという知見活用の新しい仕組みを立ち上げ、2012年12月にビザスクβ版の運用開始。けれど、何も起こりませんでした。
「資金調達のためにベンチャーキャピタルと何度か話し合いをしていたときに、『君のリーダーシップが足りない、誰よりも早くそのサービスを達成できるか分からない』とまたリーダーシップについて指摘されたのがものすごく悔しくて。そこからお尻に火がつきました」
その後、2013年7月に経済産業省「多様な『人活』支援サービス創出事業」に採択され、2013年10月にビザスクを正式リリース。2014年2月に約7000万円を資金調達します。2014年9月ごろからシェアリングエコノミーがブームになり、メディアで取り上げられるように。そこからアドバイザーが増え始め、2015年7月に2回目の資金調達をしました。
「アイデア自体よりも、やりきれるかどうかが大切。立ち上げ当時は、エンジニアリング以外は全部自分で行い、試行錯誤しながら進んでいきました。私は外部のプレッシャーをもらえたほうが早く成長できるタイプなので、ベンチャーキャピタルからの資金調達にも積極的。たくさんの人を巻き込んでやりたいし、何かやるなら社会がよくなるようなインパクトのあるサービスにしたい。毎日新しいことを勉強し、思ったよりもゴールが遠かったと気付きアップアップしていますが、それができることが幸せだと思っています」
今やアドバイザーは2万人以上。多くの企業に利用されているそう。
「娘は中学2年生。独立心旺盛で、自らこの学校に通いたいと決めて中学受験を頑張りました。その当時の親子のコミュニケーションは、週に1回。土曜日の定期テストの復習をカフェで一緒に楽しみながらやっていました。子どもにかけている時間としては全然多くないと思います。『ママが自分のことを愛しているのは知っている』と言ってくれているので、大丈夫だと思っています」
(取材・文/平野友紀子)