就職に不利な状況を乗り越え、再就職
試験が終わってすぐに就職活動を開始しましたが、小さな子どもがいることですぐに就職が決まらなかったといいます。
「お昼時にオフィス街を通ると、この人たちには仕事があるのに、私には仕事がない、と考えて落ち込むこともありました。大学生のときはゲタを履かせてもらえるので、そんなに就職活動は大変ではありませんでした。就職に不利な状況になり、初めて落ちるのに理由があると思い、志望する会社をよく調べるようにしました」
何社か受けた中、合格したのが化粧品会社。妊婦でおしゃれができない期間に初めてお化粧が面白いと思った、という気持ちが通じたといいます。
「人事の人に、1年間しか働いていないし、子どももいるし、なぜ書類で落とさなかったのか聞いたんです。そうしたら1年間しっかり勉強していたみたいだから会ってみようと思った、と言われました。英語×公認会計士で資格を取得したことが役立ちました」
「今が留学のタイミング」と、家族で渡米を決意
共働きを始めるに当たり、子どもを夜11時まで預けられる保育園が敷地内にあるマンションに引っ越し。万全の体制で臨んだものの、やはり仕事と子育ての両立は大変だったそう。
「子どもがだんだん大きくなり、夜11時に1人で残りさみしそうな顔をしている子どもを迎えにいくのが切なくなってきて。これは無理かもしれないと思いました。そこで、夫に相談したら『今が留学をするタイミングかもしれない』と言われ、家族で渡米することにしました」
渡米後受験勉強をして、2005年からマサチューセッツ工科大学に進学し、MBAを取得。子連れ留学は思ったよりは大変ではなかったといいます。
「学生は自分でスケジュールを調整できます。チームメートに『こいつがいたほうがいい』と思ってもらうためにも、最初の1、2回のグループワークは頑張り、その後協力してもらいました」
ビジネススクール受験で教わったのは、“Young Japanese Working Mother”が価値があるということでした。
「自分の経験には価値があり、キーワードを組み合わせれば差別化できアピールできることを教えてもらいました。入学後も勉強だけでなく、色々な人に触れ、考え方を学んだことも大きかったですね。アメリカ人のママと話をしたときも、『私はすごいボランティアをしている。だって子どもを2人育てているから』と言ったんです。子育ては社会に対してこんなに自分の時間を削って、次の世代を生きる子どもを育てるのはボランティアとしか思えない、と。本当にそうだと思いました」
留学が終わったら夫と離婚をし、子どもを連れて日本に帰ることが決まったときも、アメリカの保育園の先生の言葉にはっとしたそう。
「大事なのは、これから一緒に暮らすお母さんと子どもの関係。いつか嘘をついてパパはお仕事などと言わずに、家族の関係が変わること、それでも愛情が変わらないことを、素直に伝えなさい、と言われました」