管理者達の課題意識と声 働きやすい環境に必要な要素とは

 まず、各自が表にまとめた内容を基に、自己紹介も兼ねて、自分が置かれた状況や職場での取り組み、課題をグループ内で共有。参加者同士の心の距離を縮めます。

●「来年4月から育休に入る社員がいるほか、今年4月に育休が終わり復職してきた社員もいる。当初時短勤務をしていたが、子どもを保育園に預けられる時間が延びて、この秋から勤務時間を1時間増やした。トータルパワーを落とさないように、みんなのチームワークで乗り切っているが、厳しい環境の中、スタッフ同士でコミュニケーションを密に取り合う大切さを感じている
●「毎朝、3分間スピーチを実施している。最初は抵抗を感じる人も少なくなかったが、朝全員が顔を合わせる機会をつくることで仕事以外の個人の顔も知ることができ、社員同士の対話が増えた。部下には毎日、一言は対話するように心掛けている」
●「2人のチームでは1人が何らかの事情で抜けると、片方に仕事が集中してしまうが、3人の場合みんなでフォローし合うことができると考え、基本的には3人のチーム体制にしている。また、特定の個人に仕事が集中しないよう、何に今取り組んでいるのか、翌日の仕事内容を前日のうちに情報共有している」

お互いの発言に耳を傾けつつ、自分の体験も交えながら、自分の職場が抱える課題への解決策を活発に意見交換
お互いの発言に耳を傾けつつ、自分の体験も交えながら、自分の職場が抱える課題への解決策を活発に意見交換

 などと、自分と似た境遇を聞いて共感したり、職場での工夫に興味を持ったりと会話が進む中で、

●「1人がいなくなっても、代わりの人が配置されて組織はなんとか回る。しかし、それでうまく回ったというときに、外れた人はその後どうすればいいのかまで考えることも必要。また、マネジメントしていた人がいなくなるなど、本人が抱えている部分が多いと現場が混乱し短期的に回らないことがある。そういう場合の解決策も難しい」
●「子どもの突発的な発熱で会社に行けないというときに備えて、比較的期限に余裕のある仕事を渡すようにしている。家でもできる仕事があるといいけれど、環境が整っていないといきなりはできず、在宅勤務は頻繁にすると勤務実態を把握するうえで制約も出てくる」
●「会社から閉ざされてしまうのが嫌だという声もある。以前、1人目が生まれて、育休中にもう1人妊娠した社員は、会社と疎遠になり結果的に辞めてしまった。会社に接点を持ちながら、作業できる仕組みを弾力的にできるといい
●「時間に制約のある社員の居場所をつくろうと、介入し過ぎると命令になる恐れもある。『やりたくない』という場合は強制になってしまう。子どもの世話や親の介護をしながら、自宅で作業をするのが現実的に困難な場合もあり、個々によって状況も仕事へのスタンスも違うのが難しい
●「特定の人に、サポートの負担が集中すると不安がたまる。育休期間も部下ではあるので、連絡を取るようにしているが、その方法は個人に委ねられていて、組織的なカリキュラムの必要性を感じる。指示はしつつ、自己啓発やインプットする機会を設けるなど、自発的な部分を援助することが重要

 など、日ごろ感じている課題について、互いに耳を傾けながら、「自分の部署の場合は…」「こういう場合は難しかった」と具体例を添えて意見交換している姿が印象的です。