上司が“イクボス本”を職場の机上に置く、部下へのインパクト

 今回の研修で同社は、800人近くの課長職全員に日経DUALのイクボス本『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』を購入。研修用テキストとして事前に配布しました。

 「本のタイトルを見てすごくインパクトがあり、最初は自分用に私費で購入したんです」と爽やかにほほ笑む深松さん。「研修では前に立ちますが、私自身もダイバーシティマネジメントを模索してきた管理者の一人。この本は様々な実例を基に分かりやすく構成されていて、自分自身を振り返り身につまされる思いで読みました。私が行う研修で市販のテキストを使うのは珍しいのですが、各課長が職場に持ち帰って机の上に置き、『イクボス本を上司が読んでいる』というだけで、部下との信頼関係を築くうえで大きなインパクトがあると思います」と、深松さんは職場全体に「イクボス」という意識が広がる効果を語ります。

 日経DUALの羽生編集長は研修の冒頭で、「社員のライフスタイルが多様化し、配属される人員も限られる一方で、予算はぐんぐん伸び、数字や結果を出せというプレッシャーもあります。ボスと部下が情報共有して、いかにチーム戦略を立てていくかが大事。イクボスをテーマにした書籍や記事を通じて様々な企業の成功事例を紹介していくことで、変化に強く、職場がより活性化する組織作りが広がれば」と挨拶。

日経DUALのイクボス本『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』を参考テキストとして、具体的な事例から対処法を議論する実践ワークアウト研修を実施
日経DUALのイクボス本『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』を参考テキストとして、具体的な事例から対処法を議論する実践ワークアウト研修を実施

 NTTコムウェアの研修ではオリジナルのワークシートを用い、それぞれの職場の現状や課題を一覧表にまとめる「職場の現状シート」を各自が作成します。その後、介護・育児を抱える社員とそれを取り巻く職場環境の事例を基に原因を追究。俯瞰した視点から短期的・中長期的な面からの対策を講じます。実際のアクションへと結びつける段階的なグループワークを行い、会場は終始熱気に包まれていました。

 研修を通じて、より良い未来のために真剣に考え、議論する管理者達の様子を次から詳しくお届けします。

現状を正確に把握 短期的・中長期的視点からアクションへと導く

 企業はどのように育児・介護休職からの職場復帰を支援し、勤務時間に制約がありながら働く社員をサポートできるのか――。研修の前半は、職場における各社員の状況とリスクを想定した取り組みについて、グループ内で情報共有するワークを行いました。職場に時間制約社員がいない場合は、

(1)介護休職社員
「実母が突然倒れて、数日間は年休を取得し対処していたが、今後少なくとも1カ月程度の介護休職を取得する予定」
(2)育児休職社員
「半年後以降、出産に伴い産前休暇を取得予定。産後休暇の後、一定の育児休職取得も想定している」

 2つの事例の中から選択し、「時間制約社員本人」「同じチームの社員」「職場全体」「管理者自身」という4つの項目について、現状と課題を書き出し、表にまとめていきます。

研修の前半は、自己紹介も兼ねて、職場における社員の状況と取り組みをグループ内で共有・ディスカッション
研修の前半は、自己紹介も兼ねて、職場における社員の状況と取り組みをグループ内で共有・ディスカッション