子どもと車に乗るときにチャイルドシートを使うことは、子どもの命を守るために必要不可欠です。でも、チャイルドシートの選び方、使い方には、実は勘違いや誤解が多いのです。子どもの成長に応じて、正しいチャイルドシートを選び、正しく装着しなければ、事故が起きたときに、子どもが大けがをしたり死亡したりするリスクが高まります。子どもの命を守るためのチャイルドシートの正しい選び方と使い方を解説しましょう。

なぜチャイルドシートが必要なのか

「チャイルドシートに座らせると子どもがぐずって運転に集中できなくて」
「嫌がって暴れるから」
「泣いているから」
「帰省中、祖父母のクルマにはチャイルドシートがないから仕方なく」
「近くに買い物に行くだけだから、安全運転だし少しだけ」
・・・
こんな風に考えて、チャイルドシートを使わないことがあるかもしれません。

 実際、道路交通法で6歳未満の幼児のチャイルドシート着用が義務化されていても、使っていない人は結構います。警察庁と日本自動車連盟(JAF)による調査では、6歳未満全体の子どものチャイルドシート使用率は62.7%に過ぎず、5歳だと38.1%と4割を切っています(※1)。

チャイルドシート使用率は5歳だと38.1%と4割に満たない(出典:チャイルドシート使用状況全国調査)
チャイルドシート使用率は5歳だと38.1%と4割に満たない(出典:チャイルドシート使用状況全国調査)

 しかし、6歳未満幼児の自動車同乗中の致死率は、チャイルドシート使用者の0.02%に対して、不使用者は0.45%で、実に約25.7倍にも上ります(※2)。

 例えば時速40kmで走行していてコンクリートの壁に正面衝突した場合、チャイルドシートを使っていない体重が30kgの子ども(9歳くらい)は、約1トンの重さで前方に投げ出され、前席や天井に激突したり、ガラスを突き破って車外に放出されたりします。1トンの重さのものが後ろから飛んでくるので、投げ出された子どもだけでなく、前席に座っている大人も無事ではいられません。「チャイルドシートを着けていなかった未就学児が、乗用車とトラックの衝突事故で車外に投げ出されて死亡」といったニュースを見聞きした人もいることでしょう。

 たとえ、ほんの少しの時間であっても、子どもが乗るときはチャイルドシートを必ず使う。これは、親としての義務なのです。

※1:チャイルドシート使用状況全国調査
※2:警察庁 チャイルドシート使用有無別交通事故関連統計(平成27年中)