身長140センチまでは大人のシートベルトは使わない

 法律からすると、6歳になったらチャイルドシートの義務はなくなります。このため、6歳になったら、「子どもも嫌がるし、邪魔だから外そう」と考える人がいるかもしれません。

 しかし、益田さんによると、「正確な期間を明示するのは難しいですが、ボルボでは、子供の身長が140cmを超えた頃、もしくは年齢で言えば、10~12歳頃までは、チャイルドシートかジュニアシート、チャイルドクッションの使用を推奨しています」。つまり、6歳になったからといって、大人と同じシートに座ってよいということではないのです。

 3点式シートベルトの付け方の基本は、

(1)腰ベルトは必ず腰骨の位置に
(2)肩ベルトは必ず肩から胸の全体に掛ける

 ところが、大人よりも背が低くお尻の厚みがない子どもは、この正しい装着方法ができません。肩ベルトが肩にかからなかったり、腰ベルトもお腹のやわらかいところにかかってしまいます。これでは、3点式シートベルトは、正しく機能しません。それどころか、おなかのやわらかいところにかかったベルトが、内蔵に大きな圧力をかけてしまうことも考えられます。

 このため、正しい位置にシートベルトが締められるようになるまで、目安として身長が約140㎝を超えるまでは、チャイルドシートかジュニアシート、チャイルドクッションに座らせて、腰ベルトを腰の低い位置で、肩ベルトは肩から掛けるようにする必要があるのです。

 よくある間違いとして、窮屈だからと子どもがわき・腕の下にショルダーベルトを通すことがありますが、これは決してしないよう、大人の方が気をつけてあげてください。

 また、ジュニアシートやチャイルドクッションの代わりに普通のクッションや枕を使用してはいけません。「事故が起きたとき、簡単につぶれてしまい、子供がベルトの下にずり落ちてしまう可能性が大きく、安全性が保たれません」(益田さん)

チャイルドシートを助手席に置くのはNG?

 「3歳女児が助手席に設置したチャイルドシートでエアバッグが破裂し死亡」という衝撃的なニュースを目にした方もいるかもしれません。一般的には、「子どもは助手席に座らせないほうがよい」と考えられています。

 しかし、ボルボでは、後ろ向きチャイルドシートを付ける場合、助手席を含むどの席であっても安全性を保てるといいます。事実、スウェーデンを含むヨーロッパでは運転席から子どもの様子が良く見えるので、助手席につけるケースも多いそうです。

 ただし、一つだけ気を付けなければならない点があります。それは、助手席エアバッグのスイッチを必ずオフにしておくということです。

腰の低い位置で腰ベルトを締め、肩ベルトはお腹をよけて胸の間に斜めに装着すれば、妊婦だけではなく、胎児も守れる
腰の低い位置で腰ベルトを締め、肩ベルトはお腹をよけて胸の間に斜めに装着すれば、妊婦だけではなく、胎児も守れる

 そもそも助手席に子どもを座らせない方がいいとする理由は、助手席エアバッグが爆発して子どもを圧迫する可能性があるためだと言われています。これをオフにできる自動車の場合は、後ろ向きチャイルドシートを助手席につけても問題ありません。もちろん、オフにする機能がない自動車の場合は、絶対にNGです。お使いの自動車に助手席エアバックのオフスイッチがあるかを確認してください。

 「お腹のなかに赤ちゃんがいる時も、シートベルトを着用した方が良いですか?」。妊娠している女性からこのような質問を受けることも多いそうです。ボルボでは妊婦型のダミー人形を使った衝突実験や、妊婦型ダミーのシミュレーションを繰り返し、正しいシートベルトの着用が妊婦と胎児の安全のために有効であることが明らかになりました。腰の低い位置で腰ベルトを締め、肩ベルトはお腹をよけて胸の間に斜めに装着すれば、妊婦だけではなく、胎児も守れるそうです。