待機児童解消を公約に掲げた小池百合子氏が、今年8月、東京都知事に就任しました。このたび、日経DUALは小池氏へのインタビューを実施し、子育て世代が知りたい様々なホットな質問を都知事に投げかけました。インタビュアーは認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹氏と、日経DUAL編集長の羽生祥子の2人、全3回でお届けします。
 第1回は共働き世帯の最大の悩みである待機児童問題と働き方問題について聞きました。

今は子どもを産み育てたいと思える“普通の社会”ではない

日経DUAL編集長 日経DUALから『保育園に入りたい!』というムックを出しました。

小池百合子さん(以下、敬称略) へぇ、すごいタイトルですね。

―― 出しておいてなんですが、「保育園に入りたい!」というタイトル自体が不自然なんです。入りたいと叫んでも保育園に入れないという状況は本当におかしい。私自身も子どもがいるのですが、生んだ後に働くために預け先がなく待機児童になり困り果てました。そんな事態が東京では続いています。特にこの、「誕生月によって入園への道のりが違ってくる 保活年間スケジュール」というノウハウ記事は人気で、だからこそこういった本が注目されるのです。しかし本来、“何月に産んだか”によってその親子の運命が分かれてしまうなんて、いまいましきことかと。

小池 このムックが売れているの? すごいわね。それだけひどい状況であると。

―― はい、そうです。小池都知事は選挙中から待機児童解消に向けての発言や提案を積極的になさっていて、DUALの記事「駒崎弘樹 都知事選候補者の子育て支援政策を比較」でも読者からたくさん「いいね!」が集まりました。東京だけではなく、待機児童解消については日本中から期待されていると思いますが、都知事に就任された今、どのような対策を考えていらっしゃいますか?

小池 今は保育園開園数を増やせるよう補助制度や人材確保策を進めています。いい施設をつくれば、「子どもを産み育ててみよう」という気持ちになるのは自然なことで、それをかなえられる社会というのが普通なのだと思います。ただ、ずっと普通ではない状態が続いていますね。

 また、「子育てと仕事の両立」に密接に関連していて、同様に普通でないのは、日本人の働き方における意識です。いまだ高度成長期モデルから大して変わっていないといえます。