A. 共働きだからこそ、仕事を楽しみ、時に苦しみながらも仕事を通じて成長する姿をそのまま見せましょう。

 子どもにとって、親は最も身近な“大人のサンプル”であり、“社会人の先輩”です。将来、自分も踏み出すことになる社会でもまれている先輩の背中を見ながら、多くを学び取っていきます。思春期の親子の信頼関係を助けるのが、子どもの親に対するリスペクトの感情です。仕事を通じて社会とつながっている親の日常を子どもにも見せましょう。

 例えば、子どもがふとこんな質問をしてきたら、どんな答えを返しますか。

 「社会の授業で『最近の工場にはいろんな国の外国人が働いている』って習ったんだけど、本当かな?」

 仕事で疲れていると、適当に流したり、「自分で調べなさいよ」と回答を放棄したりすることもあるかもしれませんが、ここは張り切るべきところ。知識や経験を総動員して回答しましょう。すぐに答えられなければ、「同僚で、工場の管理をやっていた人に聞いてきてあげる! 2、3日待ってくれる?」と真剣に調べて子どもに返してあげてください。

 親が仕事を通じて獲得している人脈の豊かさ、知識や見識の広さと深さを垣間見ると、子どもは親を“頼りがいのある存在”と認識します。疑問を解決してくれる人。それも、広いネットワークを駆使してベストな回答を見つけてくれる人。親がそんな存在であると認識した子どもは、困ったときの相談相手として親を信頼するようになります。

 「○○ちゃんのおかげでお母さんも工場の最新事情について詳しくなれたわ」と、自分自身の成長を喜ぶ言葉を伝えることも大切です。「君がいなければ、親の私もここまで成長できなかった」という感謝の言葉は、子どもの自己肯定感を育てます。また、親がいくつになっても人として成長しようという意欲を見せることは、子どもにとって最高の教育であり、信頼を育てます。

 こうした関係性づくりが、思春期の問題を未然に解決することにもつながっていくと同時に、“頼りがいのある存在”である親のバックボーンとなっている社会に対しての憧れや期待も膨らみ、将来のキャリア形成にも影響します。