家事代行会社ベアーズの高橋ゆきさん。先回まで数回にわたり高橋さんの原点ともいうべきご両親から受けた「愛の授業」の数々を紹介してきました。そのエッセンスは形を変え、「ベアーズフィロソフィー」として、しっかりと専務塾(※)で受け継がれているそうです。外部企業からの招聘が絶えない高橋さんの授業。今日は専務塾で語られている哲学を通じて経営者としての高橋さんに迫ります。

(※この取材後、10月に専務取締役から取締役副社長へ就任したため、以下「ゆき塾」と表記します)

過剰な「転ばぬ先の杖」に危機感 転んで気づくことが大事

 「私が社内の『ゆき塾』で話していることは、テーマが経営であれ、マネジメントであれ、突き詰めればリーダーシップの在り方なんです。これは単に会社組織の中の話ではなく、家庭においても伝えたいことは同じ。全員がリーダーシップマインドを持っていれば、仕事も家事も、よりスムーズに完成度高く成し遂げることができるはずだということです」

 それは上司と部下、パパとママという役割分担のことではなく、各人がそれぞれにリーダーシップを持って自分が置かれている“現在地と目的地を知る作業”であり、「ゆき塾」はそれを確認するための道場のような位置づけなのだという。

 「家族構成も家庭の事情も千差万別。家庭の中では毎日何が起きるか分かりません。そんな家庭という場所に通い、家事代行サービスを行うベアーズレディーの心の在りようも毎日違います。その組み合わせは無限大。私が彼女達に言葉を尽くして伝えていることはいつも同じです。それは人様の“心のひだ”を知り、“心のつきあたり”を知ることのできる人になってほしいということです。これは決して業界特有の哲学でもなんでもなく、どの組織、どの業界にも通用する思いやりと愛に満ちた“人育て”なんです」

 高橋さんは子育てにおいても部下育てに対しても、すぐに簡単に手に入る正解を求め、「転ばぬ先の杖」を用意し過ぎる現代の風潮に警鐘を鳴らしたいそうだ。

 「『転ばぬ先の杖』が過剰になっている現代に危機感を覚えます。例えば、『任せたよ』と仕事を振っておきながら、一定の期間で部下に逐一状況を報告させ、何か間違いがあれば即座に軌道修正の指示を出す。上司にこんなことをされていたら、部下は“つきあたり”の在りかも分からないでしょう。こうした世の中一般の上司像とは違い、『このまま任せていたら失敗しそうだ』と事前に分かっていても、あえて失敗させるのが私のやり方です。私は部下と併走して部下が転ばないように事前に手を差し伸べるという方法は取りません。もちろん、社会的な信用を損なうことであれば、全力で体を張って止めますが、たいていのことであれば、失敗が分かっていてもあえて転ばせます。これはマネジメントに限らず、子育ても同じです

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  • 監視するばかりがマネジメントではない
  • AI(人工知能)が感情を持ち始めた後、より求められる3つの力

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