もっと仕事がしたい! 「力が余る」と感じて苦悩した時短勤務

―― 育児休暇から復職した後は、色々な壁を感じることもあるし、リズムを作るまでは難しい時期でもありますよね。羽田さんご自身、3回それぞれ違う部署での職場復帰を経験されて、つらかった時期などはありましたか?

羽田 2人目の出産後ですね。1人目のときには予定が立つ仕事内容でしたし、その中で仕事をしていくうちにリズムもつかめたのですが、2人目は体が弱い子だったこともあって、フルタイム勤務をするにはちょっと自信がなくて時短勤務を申し出たんですね。

 でも、当時は総合職を時短勤務で配属できる部署が少なかったようで、あまり仕事が多くないようにとかなり配慮しながら部署を決めてくれました。上司もとても気を使ってくれたため、とにかく私が担当する仕事が少ない。以前やっていた仕事と比べると、力が余るという感覚でしょうか。そうは言っても、子どもは熱を出すし、保育園からの呼び出しもあったので、「もっと仕事がしたい」とはいえ、きちんと担えるかどうか何カ月か悶々としていました。子育てというより、仕事とのバランスを取るのが難しく、つらい時期でした。

 その後、復帰から半年経ったころには、上司に「まだできます」と伝えるようにしました。上司はとても良い方で、どこまで任せていいのか分からなかったのだと思います。大きな部局だったので、その中で担いきれない小さな仕事があったりして、そういうものを一つずつすくっていくというような方法で、仕事を増やしていくうちに、だんだん仕事が面白くなってきました。

 そうなると「時短ではなくて、もっと働きたい」と思う機会も増えて、どうすればいいか夫と話し合うことも。そこから、家庭分担を見直すことになって、結果的に現在の割合になるベースができていったと思います。

―― 先ほど、保育園のお迎えの分担の話がありましたが、この割合はそのころに決まったのでしょうか?

羽田 今のペースになったのは3人目の出産後。そのころには、どちらの職場もリモートアクセス環境が整備され、職場を離れて仕事をすることへの理解が進み始めていました。でも、2人目出産後の部署にいるときも、後半は夫にお願いすることが増えていきました。仕事をアサインしてもらったら、忙しくもなるし、果たしたいことも増えてくる。関連してきちんと調べたいことなどがあると、「ちょっとお願いできないかな」……と相談することになります。

 夫は、私が悩んでいたことも知っていたので、「それなら自分の働き方も少しずつ変えていこう」と言ってくれました。実は、1人目の復職後がちょうど大震災の後で、夫は災害支援チームに入ったこともあって、その当時、夫はほとんど頼りにできなかったんです。そのタイミングで両立生活がスタートしてしまったので、2人目の途中までは、私が5日間お迎えに行くのが当たり前という分担になってしまっていて。夕方は基本的には全て私が担当して、時々は実家の母にお願いするというような状況でした。

思い込みを変えて「勇気を出して夫に任せてみた」

―― 最初に抱え込み過ぎて頑張ってしまうと、途中からパパの出番を増やすことが大変だったりしますよね。育休中から少しずつ分担を考えていかないと育休後につらくなるという話もよく聞きます。

羽田 私の思い込みもあったと思うんです。帰宅後、夕方から夜寝かしつけるまでって時間が短いので、「寝かしつけるまでは、私が自分できちんとやらなければいけない」と。私がやったほうが早いから、子ども達も早く寝ることができる。夫がやってグダグダになってしまうより、「ここは自分がきちんと見なくちゃ」……と思い込んでいたところがありました。

 でも、そこを変えてみる。

 そりゃ最初は子どもがパパの寝かしつけを嫌がったりとか、実は寝る時間がすごく遅くなってしまったと聞いたりとか色々ありますが、それなりに慣れていくんですよね、親も子も。今は、子ども達は両親がどちらも同じくらい必要だという感覚で、お父さんが足りなくても、お母さんが足りなくても拗ねます。両方とも大切だと思ってくれているみたいです。

―― 男の子だから特に男親が必要な場面が多いと感じることもありますか?

羽田 どうでしょうね。父親が特に必要かは分かりませんが、家事をし、日常的にピアノを見たり話を聞いてくれる父親がいることを、子ども達が大事に思っているのは確かだと思います。他方、夫が少し悩んでいたのは、日常的に一緒にいると、どうしてもガミガミ言うことが増えてしまう、と。お母さん的にならざるを得ないところが出てくる。でも、怒り方はお父さんの力強いガツンとした怒り方。そこはなかなかバランスが難しいね、という話をしたことがあります。その辺りは確かに難しいところもあるのかなと感じますね。