経済産業省の秘書課で働きやすい職場を作るために邁進

―― 経済産業省の仕事というのは多岐に渡ると思うのですが、今までどんなお仕事をされてきたのでしょうか?

羽田 入省後は、2~3年ごとに異なる部署を経験します。過去には、EPAを担当し、毎月のように日本とアジアの国と行き来しながら、自動車部品など工業製品の関税を下げる交渉をしたり、太陽光や風力などの新エネルギーの導入を増やすための施策を担当したりしました。育休から復職するときも異動となることが普通なので、復職後は3回とも異なる職場に身を置いています。

 1人目の出産後は、データを解析したり統計を作ったりする部署にいて、そこで全体をマネジメントする総括補佐をやっていました。専門家の方がたくさんいる中で、全体を見ながら一人ひとりに良い形で働いてもらえるように調整するという仕事です。2人目の出産後は、貿易管理の部署で、輸出入をする時に許可がいるものへのルールや手続きの改善を担当していました。

 3人目の出産後は秘書課。民間企業でいう人事部に当たる部署で、育休後に帰ってきた女性への支援策や超過勤務の見直しという「働き方改革」を行ってきました。超過勤務を減らすために仕事の効率性を見直そうとか、テレワークやフレックスなど、働く場所や時間を柔軟に変えていくことで育児と両立しやすい職場にしようという内容です。

 例えば、昨夏には、省内で「働き方改革表彰」を実施し、効率的に成果を出すことに取り組んだ部署を表彰しました。また、今年の夏には、すべての課で在宅勤務を体験してもらい、時間や場所によらず、成果を追求することの意識づけに取り組んでいます。

 また、出産前は何の制限もなく働いてきた女性にとって、育児休業後に時間の制約が出てくることをイメージするのは難しく、仕事を続けていくうえでのチャレンジになります。本人達は、「限られた時間で効率を上げなくては」と考えるのですが、以前の自分との差に悩んだり、組織としてもどうマネージしたらよいか分かりにくい。そのギャップをサポートする立場でした。

 「パパママクラブ」という、子育て中の職員が男女問わず昼休みにランチを食べる時間を作って、年次や部署を超えて悩みや工夫を共有できるようにしたり、復職した職員がスムーズに入っていけるように研修を実施したり。育児中の職員とコミュニケーションを取りながら仕事をアサインするにはどうしたらいいか、管理職向けの研修も初めて企画しました。