小学校受験というと、これまでは「共働き家庭には不利」と言われていました。その背景には、受験対策に不可欠な幼児教室の多くが平日を中心に開講されていたという要因があります。ところが近年、公立小学校に対する不安視や小学校受験に対する見方が変化していることなどから、共働きでも小学校受験を目指す家庭が増えています。

前回記事『就学前の幼児が挑む小学受験とはどんな試験なの?』でも説明しましたが、小学校受験では、中学受験のように学力を測られるのではなく、遊びや生活を通して身に付けた総合力が求められる内容になっており、合格を目指すにはその対策をしなければなりません。では、その準備はいつごろから始めるものなのでしょうか? 小学校受験に詳しいアンテナ・プレスクール校長の石井至さんに聞いてみました。

小学校受験をするなら幼児教室は不可欠。スタートは年少からがベスト

画像はイメージです(撮影/鈴木愛子)
画像はイメージです(撮影/鈴木愛子)

 小学校受験は、就学前の幼児が挑む受験のため、いわゆる学力を測るテストではありません。また、ひらがなをまだ習得していないことを前提としているので、文字で書かれた問題用紙が配られることもほとんどありません。

 前回の記事で説明したとおり、一般的に小学校受験では「ペーパーテスト」「絵画工作」「行動観察」「運動」のテストが行われます。

 「これらのテストは、生活や遊びを通して身に付けられるものですが、問題形式が独特なため“家庭の力”だけで合格を手に入れるのは難しいでしょう。そのため、多くの場合、その受験対策を行っている幼児教室に通うことになります」

 「幼児教室は0歳児クラスからありますが、受験の準備を始めるのなら、幼稚園や保育園の年少クラスくらいからが適していると思います。初めは月に2回くらいのペースで十分です」

 そう話すのは、ご自身も小学校受験専門の幼児教室を運営しているアンテナ・プレスクール校長の石井至さんです。

 「小学校受験では中学・高校受験の“赤本”などの過去問がなく、受験情報は幼児教室に偏在しています。一般の親が、適切で十分な受験情報・学校情報を得ることは困難です。また、『絵画工作』や『行動観察』などの対策を自宅で行うというのも、現実的に難しいでしょう」

 「特に『絵画』は年少クラスの年齢からじっくり取り組ませることをおすすめします。幼児は発想が豊かなため、自由に描かせるとおもしろい絵を描きます。もちろんその感性も必要ですが、小学校受験においては、先生の指示通りに描くことが求められるため、その訓練もしていかなければなりません。初めはうまく描くことができない場合が多いのですが、幼児教室に通わせれば必ずどの子もうまくなります」

 「『行動観察』は他の子どもと一緒にゲームやグループ遊びをさせ、そこで協調性やリーダーシップなど、その子の特性を見る試験のため、その対策は幼児教室に委ねるしかありません。年中クラスの年齢くらいから始めるというのが一般的です」

 「ペーパーテストの対策も、年中くらいからでいいでしょう。なぜなら、早い時期からやらせても、言葉の意味など理解できないことが多く、あまり効果がないからです。ペーパーテストは、ある程度の語彙力がついた最後の1年間でしっかり対策を取れば十分でしょう」

 つまり、「絵画」の対策は、年少から少しずつ始め、その他の対策は年中から始めるというのが、無理のない対策といえるようです。

 とはいえ、日経DUAL読者のような共働き家庭は、いつ幼児教室へ通わせればよいのでしょう? 小学校受験の場合、中学校受験のように子ども一人で塾へ通わせるということができません。幼児教室の多くは平日に開講されているという印象がありますが、共働き家庭が小学校受験を目指す場合、どうすればよいのでしょうか?