統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。日経DUALの読者は、4年制大学を卒業している方が多いのではないでしょうか。では大卒率の高いエリアというものはあるのでしょうか? また、保護者の学歴は子どもにどのような影響を与えているのでしょうか? 教育現場の課題も含めて見ていきます。

4年制大学進学率は52%! 1都3県の大卒人口率は?

 こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。今回は学歴のお話です。日本では高学歴化が進んでおり、大学進学率も昔に比して大きく上昇しています。

 18歳人口ベースの浪人込みの4年制大学進学率は、1960年ではわずか8.2%でしたが、2016年現在では52.0%にもなっています(文科省『学校基本調査』)。同世代の半分が大学に行く状況です。

 当然、大学を卒業したという国民の割合も高まっていますが、大卒人口の割合は地域によって異なっています。私が育った鹿児島の田舎町と東京の都心部では、全然違います。東京の内部でみても、かなりの地域差があるでしょう。

 今回は、首都圏(1都3県)の市区町村別の大卒人口率を出してみようと思います。地域にどういう階層の住民が多いかを知ることは、自治体が教育計画を立案する際に必要な情報となります。子育てファミリーにとっても、引っ越し先を決める際の参考情報になるでしょう。またもう一つ、私がこのデータを取り上げる理由がありますが、それは後で述べることとします。

大卒人口率は全国では19.9%、文京区だと51.5%

 用いるのは、基幹統計の『国勢調査』のデータです。2010年の大調査では、最終学歴も調査項目に入っています。これによると、全国の15歳以上の国民(8906万人)の学歴構成は、小学校・中学校卒が18.8%、高校・旧制中学卒が46.5%、短大・高専卒が14.8%、大学・大学院卒が19.9%、となっています(学生と学歴不詳者は除く)。

 大卒人口の比率は2割、5人に1人です。若者に限れば率はもっと高くなりますが、高齢者も含めた全年齢層でみればこんなところでしょう。冒頭で示したように、昔は大学進学率が低かったですから。

 しかるに、大卒人口率には地域差があります。想像がつくでしょうが、東京の都心部とかはスゴイ。たとえば、文京区などはどうでしょう。図1は、全国と文京区の住民の学歴構成を比べたグラフです。

 大卒人口率は全国では19.9%ですが、文京区では51.5%と半分を超えます。学問の殿堂・東京大学があり、学者や作家などの文化人が多く住んでいる地域ですが、「さもありなん」ですね。こういう文化的環境に魅かれるのか、子育て年代の流入も多いと聞きます。