保護者の経済資本よりも文化資本が子どもの学力に影響

 以上のデータから、住民の階層構成は地域によってかなり異なることが分かりました。実は、この違いは子どもの学力に反映されており、子どもの学力テストの平均点は、住民の大卒率と非常に強く相関しています。

 以前、私は東京都教育委員会に情報公開申請をし、都の学力テストの地域別データを入手しました。都内49市区の算数の平均正答率(5年生)を、先ほど明らかにした大卒人口率と関連づけてみると、図3のようになります。

 大卒住民が多い地域ほど、小学校5年生の算数学力が高い傾向にあります。相関係数は+0.9135にもなり、非常に強い相関関係です。家庭環境とリンクした子どもの学力格差がいわれますが、こうした問題が厳として存在することをハッキリと思い知らされます。

 第22回の記事では、同じ都内49市区のデータにて、算数学力と平均世帯年収の相関をとりましたが、相関係数は+0.7569でした。年収のような経済資本よりも、保護者の学歴といった文化資本のほうが、子どもの学力に強い影響を与えるようです。

 自宅の蔵書数、親の芸術嗜好……。おカネよりも、こういうことがモノをいうのでしょう。この点は、ブルデューの文化的再生産理論でもいわれています。