発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)がある息子さんとの日々を描いた『発達障害 うちの子、将来どーなるのっ!?』『発達障害 うちの子、人づきあいだいじょーぶ!?』などで知られる漫画家のかなしろにゃんこ。さん。息子さんの子育てや、発達障害と診断を受けた大人への取材などを通じて感じたこと、知ったことなどを、漫画で発信しています。

 「息子の育児は大変だけど、楽しかった」と話すかなしろさんに、「上」では息子さんが発達障害と診断されるまでのこと、そして、発達障害を漫画の題材として取り上げる理由などについて、お話をお伺いしました。「下」では、ADHDの息子さんの受験や人付き合い、そして、かなしろさんが発達障害の人の取材を通じて考えていることなどを、ご紹介します。

<前編記事> ADHDの息子の子育ては、超大変だけど楽しかった

息子には発達障害を明るく告知。中学生になると自分で調べるように

日経DUAL編集部 息子さんご本人には、発達障害のことは伝えているのですか。

かなしろにゃんこ。さん(以下敬称略) 小学校4年生の夏に診断が出て、冬になる前に本人に告知しました。告知は早いほうがいいと思いまして。でもシリアスに言うのはやめ、「こんな特徴があるらしいよ~」と笑って伝えました。中学生くらいになると、自分で特徴や症状などについて調べ始めました。

 専門家の中には「子どもを傷つけるような言い方、同情をするくらいなら、伝えないほうがいい」と話す人もいます。例えば「あなたは自閉症なのよ」とシリアスに言ったら、子どもは「自閉症は悪いことなんだ」「重い病気なんだ」と思ってしまいます。私は言い方には気を付けましたが、伝えたほうがいいとは思っています。

―― 受験勉強は大変でしたか。

かなしろ 中学は公立に進み、高校は受験をしました。塾に通ったり、家庭教師も利用しました。ADHDの息子には、大人数の塾やプレッシャーを与えて伸ばすような方式のところは、向いていないかなと感じました。個人の評判のいい塾に「こういう特性があります」と相談して、受け入れてくれるところを探しました。

 例えば、うちの息子は音楽を聴きながら計算などをすると集中できるようです。何も聴いていないと、ぶつぶつとつぶやきながら勉強する癖があります。でも音楽を聴くと、体を揺らしてリズムは取るのですが、ぶつぶつはつぶやかずに勉強できたのです。それも塾の先生が発見してくれました。通っていたところは、そういった特性を理解してくれて、音楽を聴くのを許してくれるところでした。