医療費が4歳から負担になる沖縄県、15歳まで助成が受けられる東京都

広がる自治体間格差の問題

 子どもの医療費の助成内容は都道府県が基準を決めて、さらに市区町村によって助成を上乗せしているケースがあります。沖縄県を例に取ると、医療費の助成が受けられるのは満4歳の誕生日の前日までという市町村が少なくありません。医療費は4歳になったその日から2割負担となります。

 一方、東京都ではすべての市区町村で、最低でも15歳まで医療費助成が受けられます。さらに市区町村ごとの上乗せの助成も手厚く、東京23区では所得制限なしで一時負担金も無料、千代田区では高校3年生まで対象者の範囲を拡大しています。

 北海道の南富良野町では22歳まで無料という手厚さです。

 このように、対象年齢、一時負担金・所得制限の有無など、助成内容は自治体によって大きく異なります。全国的に見ると、通院・入院ともに、15歳年度末(中学生まで)としている自治体が1103自治体(63.3%)と最も多いです(同上 厚生労働省調べ)。

 命の重さは同じなのに、自治体間でバラつきがあるのは、大きな問題だといえます。自治体間でどのような差が生じているか、全国的な比較などに興味をお持ちの方は、こちらの資料を参考にしてください。

■平成26年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」結果の送付について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078806.html
*その後、助成内容が拡大されている自治体も多いので、最新の情報は各自治体のHPを参照してください。

 隣接した市区町村でも大きく異なる場合があり、同じ病院に入院しているお隣のベッドのご家庭の医療費と負担額が大きく異なり、不満の矛先が自治体へはもちろんのこと、個人に行ってしまうようなケースも起きています。

 「何歳まででも、どんどん無料化すべき」と言っているわけではありません。「未就学児は無料」。全国的にまずその点がクリアされることを願っています。

小児慢性特定疾病の問題

 慢性疾患を抱える子どもは治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額になります。医療費が無償化されていない地域では、2割が自己負担となります。毎日薬を飲まなければならない子ども、頻繁に通院が必要な子どもを育てる親の経済的負担は、非常に大きいものです。

 医療費の自己負担分を補助する制度が、小児慢性特定疾病対策です。所得に応じて医療費の月額の上限額が決められ、対象となる疾患が704に拡大されました。また、慢性疾病を抱える子どもの預け先がまだ十分にないため、特に母親が働きにくい現状があり、所得が減ってしまう例も少なくありません。

 慢性特定疾病を抱える子どもは、ほぼ一生にわたって高額な医療費の負担が続くという問題も別に提示しておきます。小児慢性特定疾病の助成対象年齢もまた自治体ごとに異なりますが、18歳以降の補助がない自治体が多くあります。