●元夫本人が離婚の話し合いのときに「子どものことはまだ考えていない」と言葉にしたほど、子どものことを考えていなかったので、養育費の金額でもめる。公正証書を作ることを渋るなど対応が大変でした
(35歳会社員/2歳、小一の母)
【主な離婚原因:「性格・価値観の違い」「配偶者の金銭感覚」「異性関係」「配偶者の経済面」「義父母との衝突」「家事・育児分担の不公平」など】

●親権でもめたことが、離婚まで時間がかかった最大の理由です。相手のストーカーのような攻撃にひたすら耐えた時期が2年ほど続きました。当時、子どもが2歳ごろで、私の精神状態がひどかったのでかわいそうでした。数分おきに夫から嫌がらせのメールが来たり、相手の両親から私の両親あてに、私を責める内容の手紙を送られたりと、互いに弁護士をつけているにもかかわらず非常識なやり方をされ、毎日が地獄のようでした
(47歳経営者/小二の母)
【主な離婚原因:「性格・価値観の違い」「配偶者の経済面」「モラハラ」】

●子ども達が3歳未満で幼すぎたので、そもそも育児が大変な時期であった。体力的にも精神的にも疲弊して、さらに経済的にもかなり困窮しました。もともと親族も機能不全家族のような状態だったため、精神的な支えどころか責められ、とても孤独でした。息子も自分も病院通いが多かったので、ダメージが大きく生きるだけで精一杯でした
(38歳正社員/小三、小五の母)
【主な離婚原因:「性格・価値観の違い」「配偶者の金銭感覚」「異性関係」「子どもまたは自分への暴力」「モラハラ」「義父母との衝突」「家事・育児分担の不公平」「性生活のギャップ」「配偶者の外見の変化」など】

子ども達の傷付いた心が癒えるまでに時間がかかった。完全に癒えることはないと思う。離婚を決意してからも夫との同居が少し続いたときの家庭の雰囲気は誰にとっても良くなかった。細かい計画がないままに、離婚の話を進めたことで至る所で小さな対立が生じた。大人である自分達の行動なので、自分で責任を持って当然。だが子ども達はどうしても犠牲になる。「離婚」という選択肢は正しかったと皆今も思っており、子ども達と良好な関係を築いているが、傷は浅くなったとしても癒えることはない。今もって申し訳ない気持ち
(60歳経営者/中学生二児の母)
【主な離婚原因:「性格・価値観の違い」「配偶者の金銭感覚」「異性関係」「配偶者の経済面」「夫が好きではなくなった」】

●子どもを引き取るための実績作りとして、自分がその間養育した。親権も得られたが、今でも月一で面会させねばならないのが苦痛。子どもも仕方なく会っている感じ。現在の妻にも申し訳ない
(45歳正社員/小五の父)
【主な離婚原因:「性格・価値観の違い」「配偶者の異性関係」「性生活のギャップ」「妻が好きではなくなった」】

 「結婚するよりも数倍のエネルギーがいる」といわれる離婚ですが、実際の声を聞いてみると、近しい人だからこその濃度の濃い衝突や、大切な子どもという存在があるからこその切実さの中で、最善の選択肢を模索してきた経験者ならではの実感が心に沁みます。

離婚経験者の8割以上が「後悔なし」 決断後は前を向いて生きていく

 離婚体験は成立するまでの期間だけでなく、子どもの成長とともに様々な壁もありそうですが、実際に離婚した人は振り返ってどのように考えているのでしょうか。

(2016年日経DUAL調査による)
(2016年日経DUAL調査による)

 ズバリ、「離婚したことに後悔はありますか?」と質問を投げかけてみると、結果は「ある」6.6%、「ややある」4.4%、「あまりない」17.6%、「ない」65.9%。「あまりない」を含めると、83.5%の人が「離婚したことへの後悔はない」と答えています。

 中でも注目は、女性の場合「あまりない」20.3%、「ない」71.6%合わせて、9割を超えること。一方男性は、「後悔がある」21.1%、「後悔はややある」10.5%と3割強は「後悔」を何らか感じており、今でも割り切れなさを抱えている人が女性よりも多い傾向があります。

 それぞれの思いを聞きました。

<「後悔がない」「あまりない」と答えた人>

●自由で笑顔が増えた。本来の自分を取り戻せそう
(40歳正社員/年少、年長の母)
●元夫の分の食事の準備、洗濯、掃除、元夫の周囲の方への謝罪などをしなくてすむようになり、精神的・肉体的ストレスがすごく減った。元夫の生活態度・習慣の子どもへの悪影響(テレビを見ながら1時間以上かけてご飯を食べる,返事をしないなど)がなくなり、子育てがしやすくなった
(35歳正社員/2歳、小一の母)
●お金、将来の不安は拭えないが、精神的な重荷が取れて、自分らしくない状態からも抜け出せ、前向きな気持ちで過ごせるようになった
(45歳パート・アルバイト、小五の母)
●子ども達には悪いと思うけど、一生あのままの生活だったらと思うとゾッとする。抜け出せて良かったと思う
(36歳経営者/小四、小六の父)
●次に素敵な人と巡り合うことができ、子どもも含め受け入れてくれる人に出会えた。元夫との経験は今となっては、いい勉強だったと思っている。私自身が未熟なところもあったと反省もした
(46歳正社員/小四、中学生の母)

 迷い悩みながらも一度決断すれば、後ろを振り返らず、たくましく進んでいく姿が伝わってきます。一方、何らかの後悔を感じている人は、

<「後悔がある」「ややある」と答えた人>

●子どもが苦労しているのでは?と思ったとき、ほかにやり方があったのではと後悔することがある
(45歳正社員/小五、中学生の父)
もっと夫婦間で話し合いをしたり、時間をつくったりしたら離婚は回避できたのではないだろうかと思ってしまう。その後互いに再婚したが、再婚してみると、初婚のいい思い出だけが残る
(41歳正社員/0歳、1歳、年少の母)

 別の選択肢があったのではという迷いや、再婚を経て以前のほうが良かったという声もありました。当事者を取り巻く状況も許容範囲も決断も人それぞれで、結婚の数だけ、夫婦が刻む歴史や最終的な夫婦の姿も異なります。

 次回は具体的な読者の悩みや声を取り入れながら、離婚を決断する前に押さえておきたい情報や、勘違いしがちな知識について2人の弁護士からアドバイスをもらいます。

(文・構成/日経DUAL 加藤京子)