元気なうちに資産を親子で一緒に確認しておく

 井戸さんは、約1年前にお母さまが亡くなられたそうです。その際に、初めて分かったことがたくさんあったと言います。

「私の母も少し認知症になり、通帳がどこにあるかわからなかったり、保険にたくさん入っていたりということがありました。知らないうちに親が保険にたくさん入っているというケースは要注意です。元気なうちに、プラスの資産もマイナスの資産も親子で一緒に確認しておくことが大事です」(井戸さん)。

「最近は(保険などを)ネットで登録することが多いので、アカウントやパスワードも共有しておきたいですね。ネットで登録すると書類が送られてこないことが多いので、アカウントとパスワードが分からないとお手上げです。必要な書類をすべて写真に撮ってクラウドにあげておくのも良い方法です」

 井戸さんは、親の体調変化を、早めに察知することも大事だと言います。

「親御さんが離れたところに住んでいる場合、こちらから電話やメールをして様子をうかがっても、親は子どもに心配をかけたくないので『元気だよ』というものです。年末年始などで2泊3日くらい滞在するときは、ぜひ親の変化に気をつけてください。変化を早めに察知できれば、自治体に相談して使えるサービスを教えてもらえるほか、介護保険を使えるケースもあるのです」

 介護保険を使うことで、お金の面で助かるだけではなく、プロの人にみてもらうことで、症状がよくなる可能性もあるそうです。「母の場合は、要介護2の状態でいったん有料老人ホームに入ったのですが、半年後に要支援1で帰ってくることができました。異変を感じたら、早めに自治体や地域包括支援センターに相談することをおすすめします」(井戸さん)

 確かに、親の介護というのは突然やってくるもの…。異変を感じたら、地域の相談窓口にすぐに相談するということを覚えておこうと思います。

 井戸さんによると、女性は介護を3回経験する可能性があるそうです。1回めはご両親です。2回めは夫。3回めは自分自身です。

「私の場合、子どもに迷惑をかけたくないので、なるべくお金を払ってプロの人にみていただこうと思っています。子どもに迷惑をかけたくなければ、自分自身でコツコツお金を貯めておく必要があります。ペットがいる方は、亡くなった後にペットをどうするかも確認しておくといいといいでしょう。その他、SNSを閉じておく、銀行口座の数を減らすなど、残された人が困ることのないように元気なうちに準備をしておくことが大切です」(井戸さん)

 なるほど、仕事も子育てもあるなか、介護の手続きに追われることになっては大変…。親が元気なうちに話し合っておかなくては!と思いました。