【アンケート概要】日経DUALの読者を対象に2016年9月8日~10月6日にインターネット上で実施。234人(女性207人、男性27人)の回答を得た。回答者の平均年齢は39.1歳。家庭内の子どもの人数は1人が43.2%、2人が49.1%、3人が5.1%、4人以上が1.7%、0人が0.9%だった。子どもの年齢は0歳児15人、1歳児113人、2歳児48人、年少47人、年中41人、年長36人、小学生125人、中学生以上25人となっている。(注)記事中のグラフは、このDUALアンケートの結果。数値が合計100にならないのは複数回答可のため。
乳児の約5~10%、幼児の5%、学童期以降の1.5~3%が食物アレルギーを発症
食物アレルギーを起こすのは赤ちゃんである場合が多く、一般的に乳児の約5~10%、幼児の5%、学童期以降の1.5~3%が該当します。赤ちゃんのときに食物アレルギーを発症した子も、3歳で5割、6歳で9割が卵・牛乳・小麦を食することができるようになります。
ですから基本的には原因物質を除去して、自然に治るのを待つというのがこれまでの主な治療法でした。
食物アレルギーが成長につれて治っていくのは、消化吸収機能が高まっていくからだと説明されています。しかし、大人になってから食物アレルギーを発症する人もいるので、消化吸収機能の成長だけでは理由にはなりません。アレルギーにはまだ解明されていない部分もたくさんあるのです。
食物アレルギーの原因となる3大アレルゲンは、卵・牛乳・小麦です。
これを知って離乳食を過剰に怖がり、この3大アレルゲンを与える時期を遅らせようとする親御さんもいますが、乳児の90~95%は食物アレルギーではないのですから、「きちんと加熱する」「初めての食品は少量から与える」といった離乳食の基本を守れば、必要以上に怖がる必要はありません。
食物アレルギーの多くは、食べてから30分以内にじんましんなどの反応が出ます。じんましんが急激に広範囲に出たらすぐに病院を受診しましょう。範囲が狭く、かゆみも弱いなら、もう一度繰り返したときでもよいかもしれません。しかし、両親やきょうだいに非常に強い食物アレルギーがある場合は別です。離乳食を開始する前に、食物アレルギーに詳しい医師に相談しましょう。


<次ページからの内容>
・ 食物アレルギーで病院にかかるときに必要な情報とは
・ 食物経口負荷試験の内容と重要性
・ 食品の「完全除去」はもう古い!
・ 英国での驚くべき研究発表をチェック
次ページから読める内容
- 食物アレルギーが疑われる場合、まずは血液検査が行われる
- 食物経口負荷試験をせずに「少し食べてみる」のは危険
- 食物経口負荷試験を実施する施設はまだ少ない
- 食物アレルギーを発症しても、3歳で5割、6歳で9割の子が治る
- ピーナッツを除去したグループのほうがアレルギーの発症率が高まった
今井孝成

昭和大学医学部小児科学講座 講師。東京慈恵会医科大学医学部卒業後、昭和大学医学部小児科学講座入局、国立病院機構 相模原病院小児科医長を経て、現職。食物アレルギーを専門とし、東京都アレルギー疾患対策検討部会の委員や文科省「学校給食における食物アレルギー対応指針」作成委員会の委員長などを歴任。厚生労働科学研究班「食物アレルギーの栄養指導の手引き」の作成委員長を務め、日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2012」の作成や品川区、横浜市、相模原市など自治体の食物アレルギー対応マニュアルの監修にも携わる。