「〇〇が食べられなくてかわいそう」とは言わないでほしい

 最後に、子どもにアレルギーがあることでママ・パパが切なく感じたエピソードをご紹介します。

● 「子どもにアレルギーがあることでママ・パパが切なく感じたエピソード」

「〇〇が食べられなくてかわいそうね」という言葉をかけられるのがとてもつらいです。アレルギーの子を持つ前は、自分もアレルギーを持つお子さんにそんな言葉をかけていた気がするのですが、猛烈に反省しています。かわいそうと思われることのほうが、かわいそうです。その子なりに食べられるものを食べて幸せなのです。食べたいものを食べられないのであればかわいそうですが、本人は食べられないものを理解しているのか欲しがりません。
(2歳と年長、食物…卵・魚介類・ナッツ類)

外食がほぼできなかったので、同じマンションの親しい(と思っていた)人達がみんなで連れ立って夕飯を食べに近くのお店に出かけているのを見たとき、「ああ、うちはアレルギーがあるから誘ってもらえなかったんだな」と思った。仕方ないと思いながらも悲しかったし疎外感を覚えた。
(1歳と年中、食物…卵・小麦・魚介類・大麦)

自分のほうのアレルギー体質が遺伝しているので、申し訳ない気がする。
(小2、皮膚炎)

かき壊さないように、という心配から「かかないの!」ときつい調子で言ってしまうことが多い。「アレルギーがなかったらねぇ」とつぶやいてしまうこともあり、それが子どもを傷つけてしまっていると思う。
(年長、皮膚炎、食物…卵・果物・ナッツ類)

ファミサポで「送迎はできても、預かりはできない」と言われた。学童で「おやつの提供ができない」と言われた。
(小1、皮膚炎、食物…ナッツ類)

義父母の「何で?」や、「うちの家系ではない」などの言葉は正直不愉快だった。
(年中と小2、皮膚炎、食物…卵、ぜんそく)

外食時、お店によってはアレルギー一覧等を見せる前に断られたりすることも多く、悲しくなることがよくあります。
(年中、食物…卵・小麦・魚介類・そば・ナッツ類・大麦他)

保育園で1人だけ別テーブルで部屋の隅でさみしく食事している写真などを見たり、その光景を思い浮かべて心が痛む。
(2歳、食物…卵・大豆・ナッツ類)

子ども達を遊ばせるのに親同士も一緒に会うことになるため、かき壊した手足の見た目が悪いことで、相手の親から投げられる「かわいそうだ」というような視線や、友達同士でも避けられたりしてしまうのを目の当たりにすることを恐れ、積極的にお友達を遊びに誘えません
(2歳と小2、皮膚炎)

幼稚園の給食メニューで「○○食べたかったなぁ」と言われたり、代替食を持たせると、お友達から「何で○○を持ってきているの?」と言われたという話をされます。また、幼稚園で誤食をして、園長と改善について会話した際に、マニュアルの準備を依頼したのに理解されず「これ以上の対応となると常に見張っているような状態になる」と言われたことは悲しかった。
(2歳と年長、皮膚炎、食物…卵・魚介類、ぜんそく)

赤ちゃんのとき。母親学級で知り合った子達はみんなすべすべなお肌。ぐちゅぐちゅのうちの子は「かわいそうに」といつも言われ、気軽に抱っこもしてもらえませんでした。「かわいそう」にと言われると何となく気分も悪く、その方達とは疎遠になりました。
(小1と小4、皮膚炎、食物…果物・ナッツ類、ぜんそく)

両親ともアレルギーがあるため、「なんで私ばっかりかゆくなるの? ○○ちゃんは△△しても平気だよ」と言われたとき、子どもに対して申し訳ないと思います。が、「これは体質で生まれつきだから、自分は自分、人は人」と伝えると分かってくれたようでした。
(年少と小1、皮膚炎、食物…卵・小麦、ぜんそく)

アトピー性皮膚炎があるため、プールの塩素がダメでスイミングをあきらめざるを得なかったときは、気にしないでできるお子さんとの間に壁を感じた。
(中学生以上、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)

「みんなでクッキー作ろう!」→ 材料がアウト。「手持ち花火やろう!」→ 煙が発作の引き金に、など、イベントに参加できないことがある。子どもは「僕はアレルギーだから仕方ないね」と言いつつさみしそうにしている。
(年中、皮膚炎、食物…卵、ぜんそく)

疎外感があるとまではいかないですが、外食のときなどアレルギー対応のお子様メニューってどこも同じような食べ物しかないのが残念です。アレルギー表示のあるお店なら、大人メニューから注文します。
(2歳、皮膚炎、食物…卵)

* 次回からはアレルギー専門医によるアレルギー治療の実践的な情報を、DUALファミリーのアンケート結果を交えながらお伝えします。

(取材・文/福本千秋、撮影/鈴木愛子)