「最近、授業中に寝る子が本当に増えた」。中学の先生の嘆きの陰に、スマホあり
「これから10年の学力向上はスマホとの戦い」――小学校現場での実感と、元塾講師としての仮説と、自分の右手が教えてくれる。電車の中でも、スマホの画面に目を落としていない人を探すほうが難しい。自分が受験生のときに、スマートフォンとネット環境が無くて良かった。心からそう思う。2時間減った学習時間×3年分。暗記とトレーニングの結果で点数を取る試験は、確実に突破できなかっただろう。高校生向けの進路講演では、必ず最後に訴える。
「スマホ切らずに合格なし!」
データでは平成27年度・内閣府による「青少年のインターネット利用環境実態調査」に現状が表れている。平日、2時間以上インターネットを使う小学生が27.2%、中学生が46.1%、高校生が70.3%。携帯電話(いわゆるガラケー)のネット利用時間が平均35.2分であるのに対し、スマホユーザーの若者は136分、スマホを握り締めている。その分、学習や睡眠に使うべき時間が奪われる。
「最近、授業中に寝る子が本当に増えた」と、中学の先生が嘆いていた。自分が中学生で、あんな魅力的なツールを渡されたらそうなるだろう。携帯ラジオを布団に持ち込み、懐中電灯で漫画を読んでいた自分の中学生時代を思い出す。見逃したテレビ、漫画、音楽、好きなタレントの情報発信……すべてが詰まっているうえに、友達とつながり続けている。大人達もまだこのアイテムとの付き合い方を模索している中、子どもが翻弄されるのは仕方ない。
対策を考えるのは大人の責任だ。ただ禁止するのでも、否定するのでもなく。