発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)がある息子さんとの日々を描いた『発達障害 うちの子、将来どーなるのっ!?』『発達障害 うちの子、人づきあいだいじょーぶ!?』などで知られる漫画家のかなしろにゃんこ。さん。息子さんの子育てや、発達障害と診断を受けた大人への取材などを通じて感じたこと、知ったことなどを、漫画で発信しています。

「息子の育児は楽しかった」と話すかなしろさんに、息子さんとのこれまでの生活や、取材を通じて感じたことなどを、お伺いしました。かなしろさんの漫画とともに、ご紹介します!

知識はあったけれど「うちの子は違うんじゃないか」と思い込んでいた

日経DUAL編集部 ADHDの息子さんとの日々を漫画に描かれています。改めて、息子さんとのこれまでの生活について教えてください。

かなしろにゃんこ。さん(以下敬称略) 泣きたいくらい手のかかる子でしたので、定型発達の子よりも大変な育児だったと思います。でも明るくオモシロイ子だったので、息子が高校生になり手がかからなくなってきた最近では「発達障害がある子の育児は楽しかったな~」なんて感じます。

 息子の発達障害が分かったのは、小学校4年生のときでした。でも、それ以前から、学校の先生から「落ち着きがない」「呼んでも返事をしない」「集団が苦手ですよね」などと言われることがありました。教室の外に出てしまう、体育の時間は受けずに「床がひんやり冷たくて気持ちいいから」と床に寝そべっている・・・。「跳び箱を跳んだらもう一度並ぶ」などという集団行動ができませんでした。「今、やりたいこと」をやってしまうのですよね。

 「うちの子、普通じゃないですよね~」と個人面談などで先生に言うと「そうなんです!!」と返ってくることが多くて。先生としても、子どもが少し変わっていることに親が気づいているか、どう考えているか、を探っている部分があったのでしょうね。こちらから話題を振ると、「このタイミングを逃さず、言わなきゃ」みたいな感じで話してくれることが多かったです(笑)。

 今思えば、保育園のときから「変わっている」と言われていたし、子どもの心をテーマにした漫画の仕事などもしていたので、色々と資料をもらったり、発達障害についての知識はあったのですが、自分の子どものこととなるとどうしても結びつかなくて…。これが一番やっかいなところなんですよね。知識はあっても、うちの子は違うんじゃないかって。「うちの子は人見知りはしないから、この発達障害の特性とは違うか」などと否定してしまいがちなんです。実際は、特性は千差万別なのですが…。

―― 男の子の親など、「何度言ってもわからない」「すぐ別のことをやっている」という声はよく聞きます。

かなしろ 特に男の子は、定型発達でもそういう傾向はあると思うのですが、発達障害の子はもっと強烈です。